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第3定例会(9月)堤栄三議員の質疑

 2015年第3回定例会で、9月30日、日本共産党の堤栄三議員が行った質疑は以下の通です。

 なお、ここに掲載の質疑はテープから起こしたもので、正式な議事録ではありません。正式な議事録は、後日県議会のHPに掲載されます。またこのHPでも紹介します。





第3回定例会質疑


2015年9月30日

(堤 県議)

 決算議案について質疑します。マイナンバー制度について平成26年度の一般会計決算には、マイナンバー法の施行に伴うシステム改修がありますが、マイナンバー制度は、全国民に番号を付与し、社会保障や税等の一元管理を国が行えるようにするものです。マイナンバーは社会保障、税、災害の3分野、98の行政事務で利用されるほか、銀行口座等にも番号を付与することも決まり、今後その範囲が拡大される危険性があります。国民の収入や財産の実態を国がつかみ、税・保険料の徴収強化と社会保障の給付削減を狙ったものです。そこで、以下5点について答弁を求めます。

まず通知カードについて、政府は、10月5日以降、通知カードを送付すると言っていますが、自宅に住民票を置いたままの介護施設入所者や、住所地に住んでいない方、さらにはDV被害などで住所を秘匿している方など、様々な状況の方がいます。そのような方にもれなく通知を送ることはできるのでしょうか。

2つめに、マイナンバーの情報管理について、日本年金機構の情報漏えい事件等でもあったように、人為的なミスなどで情報漏えいが起きる危険性があります。また最近では中国やロシア、北米などからのサイバー攻撃が確認されており、大分県内でも自治体のホームページが書き換えられる被害に遭ったと報道されています。さらに高度な攻撃があれば、ますます情報漏えいの危険性は高まります。いったん流出した情報は元には戻りません。「なりすまし」など、犯罪等に悪用される危険性もありますが、県として、マイナンバーの情報漏えいへの対処はどうしていくのでしょうか。

3つめに、中小企業のマイナンバー制度への対応について、マイナンバー制度のもとでは、従業員を雇用する事業者は、税務署に提出する源泉徴収票などの法定調書に番号を記載しなければならなくなり、従業員の個人番号の管理が求められます。この管理のための担当者を決め、別室で厳重に管理するなど、社員5人以下の零細事業者でも導入経費は数十万円必要と言われています。

 中小企業にとっては、景気低迷の中、大変な負担増となります。このような中小企業の状況について、県はどのように考えているのでしょうか。さらには、企業が倒産すれば、個人番号の管理も曖昧となり、番号情報が流出する危険性が生じますが、このような場合の対処はどうするのでしょうか。

4つめに、マイナンバー情報の提供について、マイナンバー法第19条第12号は、「刑事事件の捜査」や「その他政令で定める公益上の必要があるとき」にマイナンバー情報の提供ができると規定していますが、大分県警としてどのような場合に情報の提供を求めるのでしょうか。

5つめに、マイナンバー制度について、内閣官房社会保障改革担当室審議官は、「個人の情報を完璧に近い形に名寄せすることで、税・保険料を漏れなく徴収するとともに、社会保障の基準となる所得把握を厳格化することで、社会保障制度の対象を、行政が低所得者や低資産と認める一部の人に限定していくこと」を制度導入の狙いとして語っています。

 これは、「給付に見合った負担・負担に見合った給付」の名目で「負担増・給付削減」を進めるものです。このような方向に向かわせないためにも、マイナンバー制度の廃止を国に求めると同時に、個人情報を危険にさらすような制度を今後つくらないことが重要と考えますが、知事の答弁を求めます。

(知事)

マイナンバー制度について、マイナンバー制度は、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平・公正な社会の実現を目的とした重要な社会基盤であります。例えば、県が行う事務では、県営住宅の入居申し込みや高校の就学支援金などの申請手続きに活用されます。平成29年7月以降は、住民票や市町村税の課税証明書といった添付書類を省略し、申請時の負担を軽減できるようになります。情報通信技術の発展により、民間ではネットショッピング、オンラインバンキングなど、新たなサービスの提供を行っているように、行政もこうした技術を活用し、更なるサービスの向上を図ることが求められています。他方、技術の活用は、情報漏えい等のリスクも伴います。そのため、個人情報の保護に取り組んでいかなければならないことは、もちろんの事だと考えます。このため、マイナンバー制度のスタートにあたっては、全国知事会からも、国において個人情報の保護に万全を期すよう要請しているところです。県としても、制度面、技術面での対策を講じるとともに、職員への研修を徹底するなど、セキュリティの確保に努めているところです。

(総務部長)

通知カードについて、平成25年5月のマイナンバー法成立以降、市町村は、改めて、住民基本台帳法に基づき、通知カードの送付先である住所地の確認・調査を徹底している。一方で、介護施設入所者やDV被害者など、やむを得ない理由により住民票の所在地で受け入れない方も想定される。そうした方には、現在お住まいの居所で通知カードを受け取っていただけるよう、入所施設にご案内を送ったり、DV被害の相談の際に説明するなど、広く居所情報の事前登録をお願いしている。9月25日を申請期限として、既に各市町村で2785人の方が、事前登録の仕組みを利用しているところです。仮にされていなくても、通知カードは簡易書留で送付されるため、本人不在の場合は市町村役場へ返送されます。郵便ポストにほったらかしは無い。返送の場合、本人が市町村窓口に出向き受け取ることができるほか、市町村の職員がお知らせハガキの送付や追加調査などを行い、居所が確認できれば、そこに再送付することになる。市町村は居所などの調査を徹底し、県も必要な支援を行い、住所地、居所、市町村窓口のいずれかで確実に通知カードが手に渡るように努力していく。

マイナンバーの情報管理について、マイナンバー制度の導入にあたっては、様々なセキュリティ対策を実施する。法令上、特定個人情報保護委員会による監視・監督や罰則の強化など、マイナンバーを含む個人情報の保護について厳格な規制が設けられている。ご指摘の「成りすまし」についても、マイナンバーだけで本人確認をすることはない。従来からの運転免許所等の公的な身分証明に加え、マイナンバーの提示による本人確認が求められるので、むしろ厳格な運用が行われることになる。法令上の対策はもとより、県としても、最高情報統括責任者、CIOである太田副知事をトップとする電子県庁推進本部において、制度面、技術面での対策を進めている。制度面では、情報の保護責任者、監査責任者の設置といった組織体制、文書やシステムの情報漏えい時の対応などを管理規定で定める。技術面では、マイナンバーを扱うシステムや、パソコンについて、インターネット回線から独立させる。職員研修も重要です。直接マイナンバーを扱う職員だけでなく、本庁や地方機関の全職員を対象に、セキュリティ対策を含めた制度運用にあたっての留意点を研修している。

中小企業の対応について、一般に中小企業がマイナンバーを扱う場面は、従業員の源泉徴収や雇用保険といった、税務署やハローワーク等へ提出する手続き書類の取り扱いに限定。これまでも、従業員の給与や顧客の情報など、個人情報を含む書類等は、個々の事業主の規模や事務所の状況に応じて適切に管理して頂いてるものと考えている。仮に、今回適用される国のガイドラインに照らして、情報の管理が不十分な点があれば負担は生じるが適切に見直して頂くことが必要と考えている。また倒産したらどうなるのか、従来から、法人を解散する場合には、精算人は10年間、書類を保存することが義務付けられている。精算人を置かない廃業であってもマイナンバー制度導入後、番号情報を適切に扱わなければ、特定個人情報保護委員会の勧告や罰則の対象となり、厳格に取り扱うことになっている。こうした取り扱いを含め、事業者における対応の理解を深めて頂くため、事業者向けの説明会を既に37回開催、約3,400名に参加頂き、今後も開催する予定。マイナンバー制度の重要な担い手である事業者の皆さんのご理解を深めていきたい。

(警察本部長)

マイナンバー情報の提供について、マイナンバー法第19条12号に定める「刑事事件の捜査」については、例えば、マイナンバー情報を悪用した「なりすまし」に係る犯罪捜査の為に提供を求める場合が考えられる。「その他法令で定める公益上の必要がある時」とは、例えば、少年法第6条の2第1項に定める14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年に係る調査など、法令に定められた法律に基づいて行われる警察活動において提供を求める場合である。いずれにしても、法令を遵守し、適正に情報の提供を求めていく。

(堤 県議)

まずは総務部長に、居所そのものが無い方、大分には居るが住所等が分からない方、色んな方がいると思う。そういう方々はマイナンバー通知カードが戻ってきます。戻った時に管理はどういう風にするのか。もう1つは、個人情報保護委員会の話しがあったが、評価する委員会は行政が作る。行政が作った委員会で評価をするわけです。そんな状況の中でまともに管理・監視ができるのかどうか。日弁連の弁護士の方々も危惧している。委員会があるから大丈夫という概念はおかしい。行政としてどういう風にしていくか、もう少し考えていかないといけない。基幹系と情報系ネットワークを分断するのはいいが、年金機構は分断されていたが結局流出した。人為的ミスが大きかった。小規模自治体としては、かなり管理が厳しいと思う。そういう所に対して行政としてどういう指導をされているのか再度お伺いします。併せて責任者として、もし情報流出があった場合どのような対策をとっていくのか、太田副知事に確認します。

併せて、知事に、利便性向上というのは一方でありますが、私や知事が住民票を取ったり税額証明を取ったり1年間にそんなにないでしょう。なのに導入経費は3000億円、維持管理に年間300億円かかる。お金を捨てていくようなものです。98以上の情報も入れていくとなると益々危険性も高まります。是非廃止するよう国に求めて頂きたい。

本部長に、集めたデータの情報をデータベース化することはないのか。データベース化していないものについてどのようなチェックが働くのか。公安委員会がチェックするのか、再度お答え下さい。

(総務部長)

まず通知カードが返送された時の管理について、当然のことながら市町村担当部局において厳正な管理をしますし、目安として、3ヶ月経っても所在が分からなければ、これは処分をして廃棄した旨を地方公共団体システム機構に届けるというような仕組みになっています。また特定個人情報保護委員会、我々が今後監視・監督を受ける主体でありますが、行政機関ではないかという指摘ではありますが、行政組織の中でも、国家行政組織法3条に基づき国会が委員を任命するという形での大変独立性の高い委員会です。民間に任せるという選択肢もなかなかないと思う。たいへん独立性の高い行政機関の監視・監督が働く仕組みだということです。ネットワークの分離につきましては、年金機構の例もありながらの質問ですが、確かに年金機構の場合はネットワーク上分離されていたにもかかわらず個々の職員のレベルにおいて当然設定しておくべきパスワードを設定していなかったとか、かなりずさんだった。人為的なミスは起こりうるという前提のもとで適切なシステム上のセキュリティ措置。更に管理規定の整備が必要だと考えています。その上でマイナンバー法施行後は年金機構と違い大変重い罰則が科されることになりますし、当然のことながら公務員として懲戒処分の対象にもなります。そういった抑止措置というところも含めて適切に運用していきたいと考えている。

(副知事)

概要は今、総務部長が申したとおり、管理規定の中で定めていくことになる。情報が漏えいしないようまず防止をするとういうのが最も重要です。それをするというのを徹底したい。万一それが起こった時にも想定外ということではなく、漏えいが起きた時にそれ以上広がらない為にどのような措置をとるかとということも含めて対応に定めていきたい。

(知事)

利便性に比べてコストもかかりすぎる、リスクも大きいので、検討して止めるべきではないかという話しですが、これから時間をかけながら利用の方法を考えて、行政の効率化を図りながら国民の利便性を高めていく。そして公平・公正な社会の実現を目指していくという目的に添って、大きな力を発揮していくのではないかと思っている。リスクについては、制度面・技術面でしっかりと出来るだけの対応をしたい。いくら制度が良くても技術が良くても最後は人が動かす。この、人の面でもしっかりと研修をして、リスクを最小限にしていく事が大事。しっかりやっていかなければいけないと思っている。

(県警本部長)

まずデータベース化について、このマイナンバー法において9条の5項に警察でいえば刑事事件の捜査で提供を受けた情報についてはその提供を受けた目的を達成する為に必要限度で利用することが出来るとなっている。事件捜査の目的で利用することが出来ると限定されている。その目的以外の目的でデータベース化することは当然出来ないと考えている。公安委員会のチェックについては、マイナンバー法を見ても公安委員会の関与に関与に関する規定はない。現時点で公安委員会によるチェックというものは想定していない。

(堤 県議)

是非これからも廃止を強く求めていきたいと思う。

次に、教育現場の勤務環境について。今、教育現場は、新自由主義の台頭などによって、「先生たちは楽をしているのではないか」、「民間は競争社会なのに先生たちの間に競争がないではないか」など、教職員に対する攻撃が目立つようになっています。しかし、教職員は、大分県長期総合計画のもと、学力が全国平均以上の児童生徒の割合や、いじめの解消率、不登校児童生徒の学校復帰率などが「数値目標」として示され、その達成のため、追い立てられるように時間外勤務を余儀なくされ、多忙化や時間外勤務の実態を踏まえ、教育現場の勤務環境づくりについて、どのように考えているのか、教育長の答弁を求めます。2点目に、低所得世帯への支援等について。家庭環境を見れば、近年、子どもと親の状況が大きく様変わりしています。 非正規労働の拡大と貧困率の上昇で貧富の差が拡大しており、このような親の貧困を根本的に解決しないで、子どもの学力のみ上げようとしても、子どもの学力が向上しないのは当然だと思います。親は日々の生活のために夜も働き、子どもは夜寂しいので外で友達をつくろうとする、その結果、夜の街に「普通の子」が出歩いている状況があります。福祉保健部と教育委員会が共同して対処する必要があります。低所得世帯への支援を今後どのように進めていくのか、福祉保健部長と教育長それぞれの答弁を求めます。

(教育長)

まず教育現場の環境作りについて。これまでも、現場教職員との意見交換や時間外勤務状況調査等による実態把握を踏まえ、学校現場の負担軽減に向けたハンドブックを作成し、研修・会議等の精選・縮減やICT機器の活用による業務の簡素・効率化などを進めてきた。教職員が各自の役割に応じて資質能力を十分に発揮し、学校が組織として機能する為「芯の通った学校組織」の取組みを推進するとともに、生徒情報等を管理する校務支援システムの充実や、県立学校への総務事務システムの導入など、今後とも教育現場の勤務環境の整備を進めていきたいと考えている。

低所得者世帯への対応について。就学支援対策として、小中学校では、市町村が低所得者世帯を対象に、学用品や給食、修学旅行の費用などの支援に取り組んでいる。また高校では、昨年度から、授業料負担を軽減するための就学支援金の支給や、授業料以外の教育費負担を軽減するため、低所得者に対して返済の必要のない奨学給付金の支給を開始したところです。加えて、従来から行っている無利子の奨学金貸与では、通学費等奨学金について、今年度から貸与の対象となる交通費の基準を引き下げ、今まで以上に利用しやすくなるよう見直しを行った。今後とも、家庭の状況にかかわらず、全ての児童生徒が等しく教育を受けられるよう、関係部局と連携して取り組みを進めていきたい。

(福祉保健部長)

低所得者世帯への対応について。現在国においては、総理をトップとした子どもの貧困対策会議において、経済的に厳しい状況に置かれた一人親家庭などに対する支援策が検討されている。今後、年末を目途に、相談窓口のワンストップ化の推進をはじめ、子どもの学習支援、親の資格所得支援などの充実や、経済的支援について、財源確保と併せて検討を進め、政策パッケージを策定することとされている。県においては、福祉保健部と教育委員会を中心に関係部局で構成する「子どもの貧困対策推進委員会」を設置し、国の動向も念頭に置きながら、貧困が世代間で連鎖することのないよう「子ども貧困対策計画」を本年度中に策定することとしている。関係部局や関係団体等とこれまで以上に連携しながら、必要な方に必要な支援が行き届くよう、計画的に基づき効果的な施策を推進していきたい。

(堤 県議)

国民健康保険のペナルティについて質問します。国は、子ども医療費助成の現物給付を行っている市町村に対して、国民健康保険の国庫負担金を減額するペナルティを設けています。多くの市町村で現物給付が行われている実態がある中で、国会でも議論され、厚生労働省もようやく重い腰を上げ、ペナルティ問題についての検討会を立ち上げました。私は、8月26日に厚生労働省に対し、「ペナルティについては廃止するよう」要請に行きました。担当者は、「検討会では子ども医療費全体が議論され、ペナルティ問題も協議の対象になる。」と話していました。県としても、国保ペナルティそのものをなくすよう国に働きかけるべきではないでしょうか。答弁を求めます。

(知事)  

子ども医療助成制度は、疾病の早期治療と、子育てに伴う経済的な負担軽減に大きな役割を担っています。本年3月、国が子育て等に対する温かい社会を目指し策定した、少子化社会対策大綱の実現のためにも、重要な取組みであると考えています。その意味からも、国民健康保険国庫負担金の減額措置は、国を挙げて推進する少子化対策への地方の努力と相反するものであります。県内の市町村にとっては現在、1億円もの財政負担を伴っていることから、全国知事会等を通じて、減額措置の廃止を国に要望しているところです。今月、国は、「子どもの医療制度の在り方等に関する検討会」を設置し、子どもの医療を巡る幅広い議論を開始しました。県としては、この議論の推移を注視するとともに、引き続き減額措置の廃止について、あらゆる機会を通し、国へ要望してまいりたいと思っている。

(堤 県議)

検討会の中でペナルティ廃止が今後決まるという流れになっている。県として中学校卒業するまでの通院医療費の無料化も含めて検討するという方向でいいのか再度確認します。

(知事)

制度の充実にとって1つの減額措置があった為に議論に入る事さえ出来なかったというのが今までの状況ではないかと思う。これが廃止となるとそういう議論の入り口に入ることが出来る。また制度の在り方、財源等の議論があると思う。

(堤 議員)

ペナルティ問題というのは大変な状況です。各地方議員からもそういう意見が上がっている。是非開始する入口に立つという立場で県全体で取り組んで頂きたい。子育て日本一の実現の為になると思う。

以上




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