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第3定例会堤栄三議員の質疑と県の答弁
2014年9月11日(木)
 大分県議会第3定例会で、9月11日(木)、提栄三議員が2013年度決算事業等について行った質疑は以下の通りです。

 なお、以下の記録は議会のテープ起しをもとにしたもので、正式な議事録ではありません。正式な議事録は、後日県議会のホームページに発表されます。



(堤 県議)
 2013年度決算事業等について質問します。
 まず災害対策についてです。
 広島の土砂災害は甚大な被害を出しました。
 大分県でも、土砂災害危険箇所が19,640か所もあります。要対策か所の整備率は、大分県は25.9%です。全国平均や九州平均より進んでいるといっても、多くが未対策の状況となっています。さらに、土砂災害防止法に基づく警戒区域の指定はまだ17.5%しか進んでいません。都道府県が調査をして、市町村が避難計画やハザードマップ作成が義務付けられています。
 広島の土砂災害を踏まえ県として、この進んでいない状況についてどう考えているのでしょうか。また、今後の調査及び避難計画の作成をどうする予定なのでしょうか。答弁を求めます。

(知事)
 ご指摘のように広島市の土砂災害があり土砂災害対策をしっかり対応をしなければならない。土砂災害警戒区域の指定にあたっては、限られた人員の中で、現場踏査などにより地形や地質などの状況を一つひとつ確認する基礎調査が必要であり、現地の立入りには地元関係者の同意も必要となります。
 また、指定による資産価値下落の懸念などにより、住民との合意形成に時間を要することに加え、危険箇所が約2万箇所と非常に多い状況であり、これらのことから指定率が低くなっています。
 しかしながら、近年の局地的な集中豪雨などにより頻発する土砂災害を踏まえ、警戒区域の指定は、住民へ情報の周知徹底を図り、市町村と協働した警戒避難体制を構築するうえで重要な取組であります。
 このため、基礎調査が済んだ箇所のうち、これまで警戒区域の指定に合意が得られていない地域について、防災への気運が高まっている今のうちに、改めて説明会を開催し、推進していきます。
 更に、基礎調査が終了していない箇所について、避難体制の整備が急がれる人家5戸以上の要対策箇所6,719箇所のうち要対策箇所4,420箇所を優先するなど、調査を加速させていきたいと考えています。
 この調査の結果を踏まえ、明らかとなった被害範囲などを、市町村が策定する避難計画に的確に反映させ、住民がより迅速に避難できるよう、関係部局が連携して支援していきます。
 今後とも、国の関係法令の改正の動きを注視しながら、県民の生命と財産を守るため、ハードとソフトの両輪による総合的な土砂災害対策にしっかりと取り組んでいきます。

(堤 県議)
 災害が発生した広島県の警戒区域指定は、危険個所が全国最多で3万ヶ所超えていますが、それでも37.5%で大分県より進んでいます。大規模土砂災害が起きる前に対策をとることが県としての役割です。遅れていることを対して認識して具体的な県の取り組みはどうするのでしょうか。
 再度答弁をもとめます。

(知事)
 議会でも各党から指摘をされています。土砂災害については区域指定について調査をしたり立ち入りについて地元の関係者の同意が必要だとかありますが大分県は急傾斜が多い所であるので遅れているのは問題だと思っている。できるだけ急いでやらなければと思っている。全体として2万ヶ所ありますが危険個所が6,719ヶ所ありその内まだ指定が終わってないのが4,420ヶ所というところである。基礎調査が終わってまだ住民のみなさんの同意を得られてないので今すぐにでもやろうと思っている。次に基礎調査が終わっていない4,420ヶ所の基礎調査をやる。人家のある所から順次進めていきたい。

(堤 県議)
 指定の合意が得られていない地域の指定について住民に取っていくと言っていますが、今現在指定の合意が得られていない所は何箇所くらいあるのか、再度住民の説明会を開催していく予定とありましたがいつ頃から実施していくのか再度お伺いします。

(土木建築部長)
 地元の同意が得られていない、指定が終わっていないのは98ヶ所。そういった箇所の地元説明は今月中から段取りに入りここ1、2ヶ月で開始したい。

(堤 県議)
 予算も人材も必要ですから大変ですが早急にして頂きたいです。
 砂防事業についてですが、決算説明書によると、砂防費が約70億円となっています。10年前の砂防費決算額は約90億円であり、決算ベースで、大きく減少しています。
 今後もこのような事業執行で推移すれば、要対策か所の工事が完了するのにどれくらいの年数がかかるのでしょうか。また、県民の命と財産を守るためにどのように予算を確保し、進捗率を上げるつもりなのでしょうか。答弁をもとめます。

(土木建築部長)
 昭和7年に別府市の境川において砂防事業に着手して以来、80年以上にわたって整備を続けてきているが、要対策箇所の整備率は九州平均と同水準とはいえ、未だ25.9%に止まっている状況。
 砂防施設の規模は、地形・地質により異なるため算定は困難であるが、すべての工事が完了するには膨大な費用と年月を要することは疑いのないものと思われる。
 そのため、まずは、災害時要援護者関連施設や避難所・避難路などを優先的かつ計画的に整備を進めているところ。
 一方で、近年の全国的な公共事業予算の減少を受け、本県の砂防関係予算も同様に減少傾向にあるが、整備を加速させるには、やはり、国の公共事業予算の確保が必要不可欠である。
 災害に強い県土づくりに向け、本年も6月、8月と国土強靱化を加速させる予算を確保するよう国に要請してきたところである。
 引き続き、土砂災害防止法の改正の動きも注視しながら、予算の確保を積極的に働きかけていく。

(堤 県議)
 九州北部豪雨の関連で災害予算が増えているのが実態でしょう。通常砂防など交付金で実施される事業についての決算も75億から44億へと4割以上削減されています。国に対して要望しているというが国の対応というのは予算についてはどうなっているのでしょうか。再度答弁を求めます。

(土木建築部長)
 予算概要ですが概算要求では全体で1.16倍と国交省の概算要求基準がでています。その中には砂防予算もそれに準じてはいっていると承知しています。

(堤 県議)
 県としては、5キロメッシュの土砂災害危険度情報を10分ごとに更新していますが、危険度を知る上で大切と考えますが、ただ住民がこれを見なければ意味がありません。どのように周知徹底しているのでしょか。再度答弁を求めます。

(土木建築部長)
 例年、出水期前に、テレビやラジオ、新聞など様々なメディアを通じて、土砂災害に対する「日頃の備えと早めの避難」を呼びかけており、その中で土砂災害危険度情報についても広く県民に紹介している。
 また、NPO法人砂防ボランティア協会と協働で、毎年5月に大分市の大型商業施設で行っている広報活動(砂防展示会)や、自治会単位で開催する土砂災害防止に関する説明会の中で、直接、危険度情報の活用を呼びかけている。
 一方で、市町村防災担当者に対しては、特に、土木事務所ごとに説明会を開催し、迅速な避難勧告・避難指示の発令に結びつくよう、防災情報の活用の徹底を依頼している。
 今後とも、この危険度情報を含む土砂災害に関する情報について、あらゆる機会を通じて広く県民に周知していきたい。

(堤 県議)
 公害防止対策についてです。
 新日鐵住金大分工場から排出される降下ばいじんや粉じんについて、昨年第3回定例会でも「降下ばいじんの管理目標値について、更なる規制強化」を求めました。執行部として「今後も大分市と連携し協定の遵守を監視する」「引き続き低減に向けて指導していく」と答弁しています。しかし現状は、城東地域のアンケートでも「福岡から大分市に引っ越してきたが、匂いがものすごく臭いのにびっくりした。またベランダや車の汚れも福岡市にいる時と全く違いひどい」など、背後地住民は、ばいじん公害のひどさを訴え、その対策を求める声が多数寄せられています。私もこの声を環境省へも届け、対策の強化を訴えてきました。県として企業に対しどのように指導しているのでしょうか。またばいじん被害は低減していると考えているのでしょうか。答弁を求めます。

(生活環境部長)
 「降下ばいじん」についての法規制はないが、県は、大分市と新日鐵住金(株)との三者で公害防止協定を締結し、降下ばいじん対策として、集じん機や散水装置の設置などの対策の強化を求めてきた。
 これらの対策の進捗・実施の状況については、協定に基づき定期的に市と合同で立入調査を実施し、監視している。
 その結果、降下ばいじん量は、新たに管理目標値を定めた平成18年度以降、敷地境界における平均値では1月に1?当たり6.0トンの管理目標値を下回っている。また、市が集計した苦情件数も過去5年平均で16件であるが、昨年度は11件であった。
 事業者は、「環境モニター制度」や「住民との意見交換会」を定期的に実施し、県も住民の意見や相談の内容については、大分市から情報収集するなど、状況の把握に努めている。
 今後も、公害防止協定に基づき、事業者に対し、降下ばいじん対策を計画的かつ総合的に推進するための「3カ年計画」や、具体的な方策として毎年作成を義務付けている「環境保全計画書」に基づき、これらの対策が着実に行われるよう、大気汚染防止法をはじめ環境法令を所管する大分市と連携して監視していく。

(堤 県議)
 細目協定で月6トンと規定がありますが背後地に住んでいる人は低減していないのが実感。対策を講じていると言っているがマウンド地点では10トン、舞鶴小学校の測定地では3トン以上もばいじんが落ちている。それを実感している。大分市は立ち入り調査をやっているが県としても一緒に企業に具体的な住民の意見をもっていくという事が公害をなくしきれいな大分市を作っていく為に必要。その為のお金がないわけじゃないと思うので企業に指導してほしい。そういう立場でどういう風にしていくか再度答弁を求めます。

(生活環境部長)
 大分市に寄せられた苦情、相談の状況あるいはばいじん公害をなくす会大分、市民団体の皆さまが実施したアンケート調査結果、近隣住民の声や被害の内容については私も承知している。また事業者が実施しております環境モニター制度や市民との意見交換会で寄せられた近隣住民の皆さんの声、これらの苦情に配慮して被害が軽減できるよう県と大分市、新日鐵住金との間で構成しています粉じん対策検討会などを通じて対策を講じるよう求めている。こういった被害や苦情について次期3ヶ年計画があるので10月頃には住民のみなさまの声を反映して対策を講じるよう県としても要請している所です。

(堤 県議)
 3ヶ年計画の中にそういう声を反映させるものにして頂きたい。この問題で環境省を招致してという話を昨年しました。関係住民との意見交換を環境省を交えてすると要請して来ましたが県としても一緒にして頂きたいがどうでしょうか。

(生活環境部長)
 先ほど申し上げましたとうり向上近隣の住民の皆さま方から寄せられた粉じんや匂いの苦情相談、市民団体のみなさんの住民アンケート結果これらについて承知している。苦情内容については会社に対しても伝えている。
 粉じん対策検討会を通じて強く対策を講じる要請をしている。意見交換会については大気汚染防止法、悪臭防止法等を所管している大分市において判断されるべきと考えている。

(堤 県議)
 第94号議案「大分県幼保連携型認定こども園の条例」について、来年4月から実施される子ども子育て新制度では、施設への補助金となる公定価格の「仮単価」が示され仮単価では幼児1人あたりの単価を小規模園で高くしたものの、大規模な施設では園児の単価を4分の1ほど低く設定。認定こども園には大規模園も多く、補助金減で運営できない園が出る可能性があります。これにたいしてどのような対策を講じるのでしょうか。答弁を求めます。

(福祉保健部長)
 公定価格は、教育・保育に通常要する費用等を勘案して国が定める。
費用の中には、園長人件費など施設の規模の影響を受けない固定経費や、施設の維持管理などスケールメリットが働く経費が含まれていることから、大規模な施設の方が、子ども一人当たり単価が低くなっている。
 県としては新しい公定価格のもとで円滑に制度が施行されるよう、準備を進めていく。

(堤 県議)
 それによって保育教育の質の低下を招かないかと心配があるのですがどうでしょうか。

(福祉保健部長)
 基本的にこの公定価格でやって頂くということ。この公定価格で算定された価格はそれぞれの保育所、幼稚園で通常かかっている経費をベースに算定されたものと理解しているのでこの中で運営が出来ていくのではないかと思う。そういう意味では保育の質の確保もできると考えている。

(堤 県議)
 待機児童解消について伺います。
 保育研究所の試算によると、保育所から認定こども園に移行した、定員90人の園の場合、保育園児の15人を幼稚園児に入れ替えるだけで年間約2,845万円の増収となります。幼稚園児は保育園児より保育時間が短いにもかかわらず幼稚園児に大きく上乗せされた単価設定だからです。これでは幼稚園児を獲得した方が運営費が増えるメリットがあることになり、保育園児の待機児童解消にはつながらないし、しかも幼稚園児の争奪を引き起こしかねません。これで待機児童が解消されると考えているのでしょうか。答弁を求めます。

(福祉保健部長)
 平成27年4月からの本格施行が予定されている新制度では、待機児童の解消が最重要課題のひとつとなっている。
 このため、国の指針において、各市町村は、29年度末までに、保育ニーズに見合ったサービスの提供を目指すこととされており、現在、各市町村において、その提供体制の確保の内容等を盛り込んだ事業計画の策定を進めているところ。
 県としても、各市町村における待機児童解消に向けた取組が進むよう、助言を行っていく。

(堤 県議)
 単価によって保育園児と幼稚園児の差がある。保育園児じゃなく幼稚園児を入れるという問題が出てくるのではないか。それについて県として対策は考えているのか。

(福祉保健部長)
 新制度において保育園が幼稚園に入る、認定こども園になるという事については希望する園があれば認定こども園になって下さいというのが1つ。ただし今の例でいくと90人の所で15人の幼稚園が出て来たとなると15人分の保育人数の穴が開くので市町村でその穴をどう埋めるかということを充分検討していく。地域の事情によって幼稚園に行くということについて県としてはストップ出来ない。ただし空いた保育の所はしっかり提供体制についてカバーしてくださいということを市町村に助言することとしている。

(堤 県議)
 新制度では、施設基準を緩和して受け皿を増やし、利用調整によって待機児童を保育所以外の施設に振り分けるようになります。これでは保育水準の低下につながるのではないでしょうか。答弁を求めます。

(福祉保健部長)
 認定こども園、保育所、幼稚園について条例で最低限提供すべき設備、人員の基準ですが人員を配置する事で保育の質の確保を図るという事になっているので心配されるような質の格差が出てくるのではないかということにはならないと思っている。

(堤 県議)
 職員の確保について幼児では幼稚園と保育所と保育時間が違うのに基本単価が同じ。幼稚園にはチーム加算がついているのに保育所には加算がない。など幼稚園、保育所、認定こども園と施設ごとに単価に不平等があります。
 子ども一人ひとりの保育と職員の処遇に格差が出ていることは児童福祉法の理念に反します。どこにいっても同じサービス、働く人の処遇でも同じく保障すべきと考えますが、答弁を求めます。

(福祉保健部長)
 今回、国が示した公定価格が、認定こども園、幼稚園、保育所の施設類型によって異なるのは、職員配置基準の違い、教育・保育時間の長短、給食提供の有無などを勘案し、それぞれの施設において通常要する費用に差があることを踏まえたものであり、それに応じた価格設定になっているものと認識している。
 県としては、制度が円滑に運営されるよう、幼稚園、保育所等のさらなる理解を深めるべく、丁寧に対応していく。

(堤 県議)
 量と質の改善をするためには消費税を10%にしても約4000億円不足するといわれています。また幼稚園教諭や保育士の給与月額を改善する予算や11時間の保育標準時間を保障する保育単価の引き上げのための予算は全く含まれていません。
 このように財源が不確定では、どこでもいっしょの保育や働く人たちの処遇は改善されないのが明白と考えますが、再度答弁を求めます。

(福祉保健部長)
 27年度の厚生労働省の概算要求ということでこの子育て支援部分については事項要求で入っている。年末にかけて予算編成過程でこの財源確保について検討される。県としては27年度4月の新制度発足ということを予定して準備を進めていきたい。

(堤 県議)
 事項要求というのはあくまで事項要求で実現が難しい。概算要求があるので県としても消費税増税で当てるのはおかしいのでその他の財源で当てて頂きたい。
 最後に条例第4条の「基準の向上」は、どのような時に発動されるのでしょうか。答弁を求めます。

(福祉保健部長)
 幼保連携型認定こども園は、児童福祉施設としての保育所及び学校としての幼稚園の機能や特徴を併せ持つ施設である。
 このため、この設備及び運営に関する基準は、現行の児童福祉施設と学校に関する基準をベースとして定めたところ。
 ここで、現在の児童福祉施設の設備及び運営に関する基準には、「最低基準を理由に、現行の水準を低下してはならないこと」等が義務付けられている。
今回、幼保連携型認定こども園の基準を定めるにあたって、この規定を準用することとし、その実効性を担保するために、条例案第4条で児童福祉施設の規定と同様に勧告について定めているものである。
 今後、義務付け違反の事象が生じた場合には、この規定により適切に対応していく。

(堤 県議)
 基準以上のことを求める場合もこれを活用できるということですか。

(福祉保健部長)
 これはそれぞれの施設の努力によって最低基準以上のサービスの基準があります。これを県の方からここまで上げろということではありません。これを施設の都合で最低基準まで下げようとするときには今までせっかく良い基準でやっているのだからそれは考えたらどうかという主旨です。

(堤 県議)
 ぜひ内容について良くしていきたいのでよろしくお願いします。

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