まず、議員提出第24号議案「重光葵(まもる)元外務大臣の国際連合加盟受諾演説の学校教育における取り扱いを求める決議」についてです。
国連総会での加盟受諾演説で当時の重光葵外相は、憲法の前文と九条の平和原則に言及しながら、「国際連合の崇高な目的に対し誠実に奉仕する決意」を表明しました。わずか十年前まで侵略戦争を推し進め世界に重大な被害を与えた日本への国際社会の警戒心をやわらげるねらいがあったとしても、それ自体、重要な国際公約です。
この事自体は否定するものではありません。しかし東條内閣時の外相であった当時、自らの主張を現実にするため、1943年11月の大東亜会議を開くために奔走しています。「大東亜」というのは、諸民族の「共存共栄」を最大のうたい文句にしていましたが、実態は東アジア・東南アジアに日本を盟主とする新たな国際秩序を建設するという領土拡張主義を掲げた「大東亜共栄圏」建設が目的でありました。まさに侵略戦争を遂行した一人といえます。日本の侵略戦争はアジアで2000万人以上の死者をだし、日本でも310万人以上もの方々が犠牲となりました。重光元外相は、その戦争遂行の中心的指導者のひとりであり、A級戦犯となった人物です。
国連加盟受諾演説は憲法前文を引用し平和の尊さを訴えた内容でありますが、本決議を出せば平和の使者として重光元外相の姿が独り歩きをし、戦争遂行責任が薄れてしまうことになり、教科書等で活用すると言う事は戦争責任を免罪することにつながってしまいかねません。
よって以上の理由から本決議案には反対します。
続いて議員提出議案第26号「社会保障の充実・強化を求める意見書」についてです。
本意見書の問題点は、消費税増税を認めていることと、社会保障と税の一体改革がいかにも社会保障を充実させるものとして認定していることであります。それが全く逆ということが厚生労働省の出した2015年度の概算要求をみればわかります。
年金では「マクロ経済スライド」を初めて発動し、物価上昇にもかかわらず年金改定率を0%とする年金の実質的な大幅削減を行います。
医療・介護では、成立した総合法にもとづき、患者追い出しの病床削減や介護の要支援者向けサービス切り捨てに踏み出します。
医療ではさらに診療報酬明細書情報を地域別に集計し活用する事業に25億円を要求。医療費の上限目標を各県ごとに設置して競争させ、医療費抑制を狙っています。
また生活保護では、国庫負担分は2014年度比806億円増の2兆9629億円を計上したものの、見直しを検討している住宅扶助や冬季加算については、予算編成過程で検討すると明記しているだけです。このように増税しても社会保障の充実のために使われないことが明らかです。
消費税の増税は収入の少ない人ほど負担が重く、増税は国民の購買力を奪い、消費を落ち込ませています。安倍政権になってからの金融緩和や円安などの影響で消費者物価の上昇も続いており、実質所得は大幅目減りです。調査で生活の向上感や満足感が後退しているのも、こうした国民を苦しめる政策の反映です。今年4月からの消費税増税で増えたのは軍事費や大型開発の予算だったことを見ても、増税で社会保障を充実するとか、財政を立て直すという口実は破たんしています。増税の中止こそ、国民の暮らし立て直しに最優先の課題であることを求め反対討論とします。
最後に議員提出議案第30号「魅力ある地方都市の構築へ向けた施策の推進を求める意見書」についてです。
安倍政権は6月24日、「骨太の方針」と新成長戦略について閣議決定をしました。しかし、その中心となっているのは、法人税減税や公的年金資金の株式市場への投入など、大株主や外国人投資家を喜ばせる施策ばかりであります。国民の暮らしや日本経済の未来をかえりみず、財界・大企業の目先の利益を優先するとともに、政権維持のために、政府による「株価操作」で株高を演出することにきゅうきゅうとする、まともな経済政策とは、とても言えないものです。
新成長戦略では、「働き方の改革」と称して、「残業代ゼロ」にする「新たな労働時間制度」や「裁量労働制の新たな枠組み」、「名ばかり正社員」を広げる「多様な正社員」の導入・普及などが盛り込まれています。これでは、過労死や働く人間の「使い捨て」がいっそう促進され、「人材力の強化」どころか、企業をささえる人的基盤の崩壊につながることになります。「女性の活躍推進」をうたいながら、女性が働きにくい環境を改善する根本的な対策はなく、配偶者控除や配偶者手当の廃止・縮小など、負担増ばかりであります。これでは、意見書に言う「出生率の向上や子育て支援」等到底できるものではありません。
さらに意見書では、更なる補助金漬けの企業誘致をうたっています。大分県でも補助金をつぎ込んだ大企業等誘致がすすめられていますが、そこで行われたのは大量の派遣切りであったではありませんか。日本共産党は企業誘致そのものに反対しているわけではなく、体力も資金もある大企業のための立地補助金を出すことに反対しています。そのような予算があれば社会保障の充実にこそ優先的に使うべきであると強く求め反対討論とします。
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