2012年第3回定例会

会期 9月4日から9月20日 17日間

以下の議事録は正式な議事録ではありません
**正式な議事録につきましては、大分県議会ホームページをご覧ください**

9月13日 質疑
災害対策について 
地域防災計画について 
おおいた安心住まい改修支援事業等について 
米海兵隊の演習問題等について 

9月20日 討論
大分県国民健康保険財政調整交付金条例の一部改正について(反対討論) 
大分県産業振興条例等の一部改正について(反対討論) 
大分県立学校の設置に関する条例の一部改正について(反対討論) 
四国電力株式会社との原子力安全協定締結の意思表示と伊方原発の再稼働について
充分な安全確認作業を国に求める事等について (不採択に反対討論) 
香港民間団体による領海侵入及び尖閣諸島不法上陸に関する意見書(反対討論) 
李明博韓国大統領の言動に抗議し、政府に対韓国外交の見直しを求める意見書(反対討論) 
税制全体の抜本改革の確実な実施を求める意見書(反対討論)  
中小企業の成長支援策の拡充を求める意見書(賛成討論)  

                     



                主な議案に対する各会派の態度と結果 
       2012年第3回定例会では、29本の議案に対して23本賛成、反対6本しました。

        議案・請願・意見書など          結果 共産 県民ク 自民・無 自民 公明
平成24年度大分県一般会計補正予算(第3号)について 
平成24年度大分県電気事業会計補正予算(第1号)について
平成24年度大分県工業用水道事業会計補正予算(第1号)について
大分県税条例の一部改正について
大分県国民健康保険財政調整交付金条例の一部改正について ×
大分県介護職員処遇改善等促進基金条例の一部改正について
大分県動物の愛護及び管理に関する条例の一部改正について
大分県産業振興条例等の一部改正について ×
大分県立学校の設置に関する条例の一部改正について ×
職員の特殊勤務手当支給条例の一部改正について
四国電力株式会社との原子力安全協定締結の意思表示と伊方原発の再稼働について十分な安全確認作業を国に求めることについて(請願) × × ×
「森林・林業再生プラン」に係わる具体的政策の推進を求める意見書 × ×
改正貸金業法の堅持及び多重債務対策の強化を求める意見書 ×
瀬戸内海の再生に向けた新たな法整備を求める意見書
「雇用創出基金事業」の継続を求める意見書
速やかな取り調べの可視化の実現を求める意見書
私学助成制度の堅持及び拡充強化を求める意見書
登記の事務・権限等の地方への委譲に関する意見書
香港民間団体による領海侵入及び尖閣諸島不法上陸に関する意見書 ×
李明博韓国大統領の言動に抗議し、政府に対韓国外交の見直しを求める意見書 ×
地方自治体における防災・減災のための事業に対する国の財政支援を求める意見書
税制全体の抜本改革の確実な実施を求める意見書 ×
中小企業の成長支援策の拡充を求める意見書
 

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913日 質疑
「災害対策について」
堤県議
@被災中小企業・業者への支援策について
被災地の中小業者と意見交換をしたときに、「クリーニング業を営んでいるが、1階が店舗で2階が住居となっている。床上浸水で預かっていた着物や布団がだめになり弁償することになり、機械もダメになった。床の張り替えも必要。5万円の見舞金だけでは当然再建することは不可能。生活の糧を営業で得ているのに、店舗部分は生活再建支援制度でも、また県の制度でも支援金が出ないとなっている。営業を続けるためにも、店舗部分にも支援金を出してほしい」という声が寄せられている。地域経済や文化を担っている中小業者が、自然災害によって廃業の危機に立たされている現状を見過ごすことはできない。低利の融資制度も必要だが、直接の支援制度を創設するよう国に求めると同時に、県としても創設する必要があるのではないか。答弁を求めます。
A災害関連の中小業者向けの融資について
融資制度は災害対策で国や県にはありますが、利子補給をしても利用が少ないのが現状です。二重ローン問題は国でも問題になっていますが、被災が23度と繰り返された今回は、「融資を借りてまで再建しようとは思わない」「もう廃業しか道はない」という声が聞かれています。せめて無利子にするための助成はできないのでしょうか答弁を求めます。
B農地の災害復旧について 
周辺農家では、過疎化・高齢化が進み、今回の災害で「もう農業を続ける意欲がない」「2度災害を受け心が折れた」という声が出ています。激甚災害指定で補助率のアップがあっても、自己負担してまで復旧はできないと離農を検討している農家もいるのが現状です。国は農業用機械が全損した場合は10分の3の補助率で支援する制度をつくったと聞きますが、県としても市町村と協力して農家の自己負担なしで農地の復旧ができるように制度をつくるべきではないでしょうか。答弁を求めます。

        
      豪雨被害調査 耶馬渓 (7月12日)     豪雨被害調査 日田(7月9日)

被災中小企業・業者への支援策について

広瀬知事
中小企業への復興支援で大事なことは、手ひどい打撃を受けた事業者の気持ちを奮い立たせ、事業再開につなげていくかである。このため、今回の災害では、激甚指定された過去の災害時と比べても格段に低利な、保証料込みで1.25%の緊急融資制度を設けた。併せて、行政や商工団地が連携し、事業者に寄り添って、事業再開に向けた相談や計画策定等にしっかりと対応している。これにより、融資制度を活用し再スタートを切る事業者も増えてきています。

店舗等の事業用資産への直接支援については、災害対策に関しては、やはり、国民すべてに関わるものであり、国が責任を持って、公共性や公平性、財源負担等を検討し、コンセンサスを得た上で、基本的枠組みを構築し、その範囲で、足らざるは地方団体が補完するというのが原則だと思う。今回、本県に適用された国の被災者生活再建支援制度についても、個人資産である住宅への直接支援は、制度化されるまで約10年間の議論があり、平成16年に法律改正されたもの。本県はこれを注意深く見ながら、国の制度の及ばない部分について、平成18年度に他県に先駆けて独自の住宅再建支援制度を創設した。そうした経緯があって創設した制度だが、今回の災害対応に当たり、大変役立ったと考えている。店舗、事業所等への公的支援の可否については、現在、国の検討会において、論点の一つに上がっているので、我々も今回のケースなどは検討会にも話をし、議論の動向を注視していく。

災害関連の融資状況について

商工労働部長
県では、今般の九州北部豪雨等による被害の大きさを勘案し、中小企業の返済負担が軽減されるよう、金融機関の協力も得て、実質金利を過去最低水準に引き下げた緊急の特別融資を創設した。97日現在の融資実績は18件、7780万円となっている。また、金融機関には、被災した中小企業の実態に応じ、低利融資だけではなく、既存借入金の元金据え置きや返済期間延長といった条件変更の申し出に対しても柔軟に対応するよう要請している。今後も、こうしたい支援措置を活用した事業再開に向けて、商工会議所等と連携して、被災中小企業者からの相談に丁寧に対応し後押しをしていきたい。 

農業の災害復旧について 
農林水産部長
今回の災害は、激甚災害に指定されたことから、農地等災害復旧事業の補助率が嵩上げされる。今回と同規模の平成9年の例では、農地は95パーセントの効率補助となっており、農家の負担は相当程度軽減されるものと考えている。最終的に残る農家の負担については、振興局に設けた窓口や土地改良区等を通じて、災害用無利子資金の活用など、きめ細やかな金融支援を行う事としている。今後とも、被災農家の営農継続に向けて、関係機関と連携し農家負担の軽減が図れるように取り組んでいきたい。

         
        豪雨被害調査 竹田(7月23日)        豪雨被害調査 竹田(7月23日)

堤県議
中小企業支援について再質問
日田・中津・竹田市の中小業者と意見交換をしてきたが、異口同音に店舗併用住宅で店舗部分の被災から除外すると住居ではないということに憤りを感じていた。店舗であろうと、そこは住居の一部であり切り離しをすることはできないと考えるが、それも含めて補償の対象にすべきではないか。国の制度で救われない方の為に県の制度ある。そこでは県が救われない方々の支援策を行っているではないか。ぜひ店舗部分にもその対象を拡大するよう検討していくべきだ。
融資問題について再質問
昨年の東日本大震災の時、やはり二重ローン問題が起き、国として東日本大震災事業者再生支援機構を設立し、旧債務の整理を行い、二重ローン解消を図っている。東日本であろうが大分県であろうが、個人としては被災の状況は変わらない。一方で二重ローンの解消の為に国として制度は作った、しかし片方は使えない。二重ローンは足かせになっている。二重ローンの解消の為に国に災害の時に使えるような制度を作らせると同時に県として7年から10年からの返済期間のせめて半分3年から5年ぐらい無利子の利子補給をすべきではないか。そういう制度を作るべきだ。
農家の負担について再質問
小災害の農地等の補償について激甚は嵩率があがるが、営農を続けていこうと思うと自己負担部分が大変だと話を聞いた。そこで、姫島村では農家負担がないが市町村が全額負担した場合は、県と国とでそれを措置するぐらいの必要性があるのではないか。

広瀬知事
中小企業への支援の店舗付き住宅への支援については、住宅の場合に支援をする、事業所は営業用だからまたお金を稼ぎだして長い目で稼いで下さいというのが考え方の整理だとおもいます。したがって、事業所には応援をしないというのはご理解を頂いているとおもいますが、今回の場合1階が事業所で2階が住宅という事ですが、事業所と言っても生活の場と切り離せないぐらい密接に2階の住居部分と繋がっているという所があるわけですから、事実上どのくらい認定できるかという事だが、良くケースを見ながら対応しなければいけない。制度としてもう少し考えるべきだと国にも良く言っていかなければいけないかなと思っている。

商工労働部長
中小企業向け融資について、今回設けた、九州北部豪雨等災害特別融資については融資利率年1%保証料率年0.25%融資期間については据え置き期間1年と極めて思い切った低利の融資制度になっている。むしろこういった融資制度を活用するのに躊躇があるとすれば、その県内の中小企業の経営上の課題。経営上の課題がどういったものかによってくるかと思う。県としては経営上の課題を一緒に考えて如何に支援できるか、関係団体と一緒になって支援していきたい。

農林水産部長
農家負担のさらなる負担軽減について、国庫補助事業を除いた分については市町村が助成制度を設けている。全ての市町村が助成制度を設けているわけではないが、有利な規制制度があると市町村に情報は伝えている。小規模災害40万未満の災害は重要な課題である。今年度に交付税措置が出来るという状況にあるので、活用について情報提供をしながら、県・市町村一体となって負担軽減に取組んで行きたい。

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「地域防災計画について」
堤県議
@地域防災計画の拡充について
内閣府は、829日南海トラフ地震で新たな被害等の推計を発表しました。その災害の規模は史上空前の規模です。しかし災害の時期や時間等によってもその被害は大きく変わってきます。県としても今後今回の発表を受けて、地域防災計画をどのように見直し、拡充をしていくのでしょうか。答弁を求めます。また、このようなM9程度の大地震が来れば、四国電力の伊方原発や九州電力の玄海・川内原発でも過酷事故の危険性があります。原発立地県ではない埼玉県でも平成2311月に地域防災計画の中に、原発事故災害対策計画を作成していますが、大分県としてもこの計画を作成すべきではないでしょうか。併せて答弁を求めます。
A原発から再生可能エネルギーへの転換
また、再生可能エネルギーの買い取り制度がはじまったのを受けて、企業局や京セラ、日揮等が太陽光発電所建設に乗り出しています。再生可能エネルギー産業を育成することで、原発からの脱却を図ることができます。節電の努力は一方で行いながら、原発の危険性を再認識し、大地震や大津波の被害で重大事故が起きる可能性がある中、1日も早く原発から撤退し、廃炉を目指すという姿勢があってこそ、初めて再生可能エネルギーへの本格的な拡大に道を開くことになります。この立場に立つべきと考えますが、以上答弁を求めます。

広瀬知事
地域防災計画の拡充について
東日本大震災の教訓を踏まえ、地震・津波対策に係る地域防災計画については、本年3月に抜本的に見直した所です。今回、国が公表した津波高は、概ね地域防災計画の暫定想定の範囲内となっています。県としては、この公表を受け、現在県が独自に行っている別府湾と周防灘の活断層型地震の調査と併せて、市町村の各地域までを把握できる詳細な津波高と新水域の調査を、11月を目途に急ぎ進めている所です。この調査の後、津波高の想定を一本化し、ハザードマップを作製する為に必要なデータを市町村に提供することにしています。併せて公表された被害想定では、早期避難や避難の呼びかけがあれば、人的被害が大きく減少する事が示されています。県としては、住民が、迅速かつ効率的に避難できるよう、昨年度から施行損が行う避難所・避難路の整備などに助成し防災・減災対策に取組んでいる所です。引き続き、スピード感を持って、防災・減災対策を強化しながら、必要な地域防災計画の見直しを行ってまいります。次に、原子力災害対策についてです。福島第一原発の事故を受けて改定された国の防災基本計画では、地域防災計画の原子力災害対策編を策定すべき地方自治体としては、今後示される原子力災害対策指針の中で「原子力防災対策を重点的に実施すべき区域」を目安として定めるとされています。ちなみに、3月に公表された防災指針の中間とりまとめでは、その区域の目安として、原発施設から概ね30qが示されています。また、概ね50キロメートル圏域内では、放射性物質を含んだ空気の一弾であるプルーム通過時の被ばくを避けるための防護措置の検討が必要である、とも指摘されており、今後、国から示される「原子力災害対策指針」等を注視してまいります。その動向を見て対応しなければならない。

商工労働部長
再生可能エネルギーについて
この夏の節電要請については、一昨年比10%の削減に加え、万一の場合の計画停電の備えを行うなど、大変厳しい内容であった。このため、精算に直接関係しない非常用発電機の整備が必要となったり、また在宅での人工呼吸器使用患者等の安全確保が必要となるなど事業活動や県民生活にさまざまな制約や不安が生じた所。原子力発電の発電量は、これまで全国の約3割、九州では約4割を占めていた。これを直ちに再生可能エネルギーを含む他のエネルギーで賄うには、経済的、技術的な面等安定供給上の課題がある。少なくとも当面は、原子力発電について、国及び電力会社の責任において、しっかりと安全性を確保し、住民の理解を得る事が重要であると認識している。再生可能エネルギーの拡大については、県政の重要課題と位置づけ、県内企業、大学などで構成する大分県エネルギー産業企業会を中心にスピード感をもって取り組む

堤県議再質問
「原子力災害対策指針」の動向を見て対応では遅い。事前に叩き台を作っておくべきではないか。節電が厳しかったというが県民はそれをやった。裏を返せば放射能事故は怖いのだという意識がある。原発がなくても電力は足りるという認識に立つべきと考える
            
      自然エネルギー調査(八丁原地熱発電)7月19日   自然エネルギー調査(日田浄化センター)7月19日

広瀬知事
「原子力災害対策指針」等を注視してまいります。

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「おおいた安心住まい改修支援事業等について」
堤県議
平成23年度実績で521万円の決算となっています。大分市が要綱をつくっていないので、活用を訴えられないのが現状です。自治体との協議はどうなっているのでしょうか。答弁を求めます。簡易耐震や子ども部屋といった、特別のリフォームしか活用できない。一般的リフォームになれば、建設市場を創出する上、県産材の活用や家具や家電などの買い替えなどによって地域内経済循環を太くし、自治体の税収を増やす波及効果もあります。 県として県産材の需要拡大と地域経済の波及効果の大きい一般の住宅リフォーム助成制度を、一歩進めて検討する時期ではないでしょうか。併せて答弁を求めます。

土木建築部長
市町村の実施状況
本事業は既に16市町村で実施されており、大分市。杵築市は、高齢者住宅のバリアフリー回収に対する助成制度などを独自で設けていることからみ実施であるが、25年度の事業導入に向けて引き続き働きかけを行っている。
一般住宅のリフォーム助成
リフォーム助成については、明確な目的を持って実施することが必要であり、整備の急がれる高齢者が安心して暮らせる簡易耐震やバリアフリー改修、子育て世帯の住宅改修に対し支援を始めた所である。また、県産材の活用推進や、地元建築事業者の受注拡大といった効果も発揮されているところである。改修経費の経済的負担が大きな高齢者や子育て世帯への支援をさらに進めるため、制度の利用拡大に向けて今年度から世帯の収入要件の一部を緩和し、対象世帯を拡大したところである。今後とも、リフォーム相談会や事業説明回答を開催するなど、県民や事業者に事業の周知を図って行く。

堤県議
一般的な住宅リフォーム事業の経済効果、税収効果をどう考えているのか

土木建築部長
当然、それなりに効果があると思っている

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「米海兵隊の演習問題等について」 
堤県議
今年2月の米海兵隊による日出生台演習や、8月の日米共同訓練について直ちに中止すべきであるというのが日本共産党の立場です。しかし今回の共同訓練では、中止どころかますます情報が秘匿されたまま訓練が行われました。情報開示についてどのように求めていくのでしょうか。さらに8月という湯布院観光にとっても畜産業にとっても、大切な時期に行うことは、県民の理解を得られないと考えますが、この問題で今後どのように国に改善を求めていくのでしょうか。併せて答弁を求めます。

生活環境部長
基本的な考え
米軍実弾射撃訓練は、沖縄の負担軽減の為「SACO合意」に基づき、国の責任において実施されるものであるが、県の基本的な考え方は、訓練の将来に渡る縮小・廃止である。また、日米共同訓練は、日米安全保障条約に基づき、防衛政策として実施されるものであるが、今後、訓練が恒常化することの内容に国に要請している。
情報開示
情報開示は、県民の不安解消、安全確保の為に重要な事項であると認識している。今回の日米共同訓練では、米軍のセキュリティーの確保等の課題はあるが、今後とも粘り強く情報公開を求めていく。
訓練の8月実施
日米共同訓練については、10年ぶりに、また、今回、初めて8月に実施されたこともあり、国に対し、事前の地元説明会を申し入れ、開催されたところである。今後、8月の訓練実施に伴う影響や問題点等について、関係自治体とともに検証し、必要があれば国に伝えていく。

堤県議
日米安保条約のもと、情報を出さなくてもよいという国の姿勢に対し、厳しく抗議すべき。
   
        
               知事に対してオスプレイ訓練飛行の中止の申入れ(7月6日)

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920日 討論
「大分県国民健康保険財政調整交付金条例の一部改正について」
今回は国保法の改正による県の国保財政調整交付金の増額等の条例改正ですが、政府による社会保障と税の一体改革の内容に沿ったものとなっています。今後の課題として「財政基盤強化策の恒久化」と「都道府県単位化の推進」が規定されています。市町村国保の財政基盤は大変厳しい状況ですが、国保加入者の保険料を少しでも抑えるために各自治体では、一般財源から国保会計に補てんしているのが実態です。本来国の責任で定率国庫負担を増額しなければならないのに、その責任をかなぐり捨て、今回は都道府県の調整交付金を2%増額し、国の負担を2%減額させるものです。国保の県単位の広域化に反対し、保険料の上昇を抑えるためにも国庫負担金の増額をするべきです。 今回の条例改正は法律の改正に伴うものであっても、以上のような立場に立っていない今回の条例改正には反対致します。

「大分県産業振興条例等の一部改正について」
産業振興のための不動産取得税の免除期間の延長を法の整備に合わせて改定するものです。確かに中小企業も対象となっていますが、今回の改正では誘致大企業にも適用されるようになっています。不動産取得税として平成2122年度で約6,784万円の実施がされ、減収補てんが75%あったとしても県民負担が生じます。今回の改正で約2,180万円も免除がされようとしています。これには補てん措置はなく、結局は県民の負担へつながってしまいます。大企業はこれ以外にも様々な、優遇税制が施されています。この是正こそ実施し、県民負担をやめるよう求めて反対とします。

「大分県立学校の設置に関する条例の一部改正について」
今回の条例改正は高校改革推進計画に基づき、事実上県立山香農業高等学校と日出暘谷高等学校を統合し、県立日出総合高等学校を設置するための条例の一部改正です。大分県として前期、後期再編整備計画を策定し、県立学校の統廃合を進めています。高校改革推進計画の中には、適正規模の学校とは、「多くの生徒と出会い、お互いに切磋琢磨する環境、専門の教員配置、多彩な部活動が選択できる」と定義づけられています。このような条件は、統合や廃止でなくても十分達成できる条件でありますし、少ない人数だからこそきめ細かな指導ができるのであります。また今回は山香農業高等学校という独立した農業高校が事実上廃止されてしまいます。新設校に農業系学科を創設するといいますが、これまで農業高校として様々な県内農業に貢献をしてきている高校です。それは農民政治連盟の会報の中にも@山香地域は農業的な自然条件に恵まれた地域である。A潤沢な実習農場に恵まれている。B高校卒業者が農業後継者として頑張っている等などの理由から単独農業高校として残してほしいと、県議会OBらが要望や請願を一昨年提出しています。県内農業を発展させるためには単独農業系高校の存続は是非必要と考えます。この立場から計画の見直しと統廃合中止を求め、反対討論といたします。

請願「四国電力株式会社との原子力安全協定締結の意思表示と伊方原発の再稼動について充分な安全確認作業を国に求めること等について」
現在日本には50基の原発があり、稼働しているのは関西電力の2基だけですが、節電など工夫すれば原発抜きでも電力がまかなえたことは、関西電力公表の数字やこの夏の経験でも明らかです。停止中の原発の再稼働はやめ、再稼働した原発は中止して、原発からの撤退をすすめることこそ、国民の願いです。これまで原発からの撤退を求める国民の強い意志は、政府がおこなってきた調査だけでなく、マスメディアの世論調査や、首相官邸前から全国各地に広がっており、毎週金曜日の抗議行動などでも明白に示されています。本請願では、「伊方原発の再稼動について、安全性の確認を行う」という主張もありますが、今の原発の技術では絶対安全と言い切れないのが現状です。こういう問題はありますが、他の請願項目で求めているように、県として南海トラフでの大地震で、四国電力の伊方原発や九州電力の玄海・川内原発でも過酷事故の危険性があると認識すべきです。そして大分県としても原子力災害に対応した原発事故災害対策計画を作成するのと同時に、伊方原発からわずか45キロの地点にある県として四国電力との安全協定を締結することも大切です。そうしてこそ県民の安心・安全につながります。よってこの請願は決して不採択にされるようなものではありません。県として積極的に推進することこそ必要なことです。ぜひ採択するよう求めて討論とします。

「香港民間団体による領海侵入及び尖閣諸島不法上陸に関する意見書」
「李明博(イミョンバク)韓国大統領の言動に抗議し、政府に対韓国外交の見直しを求める意見書」

領土問題については、どのような問題でも、歴史的事実と国際法上の道理にのっとり、冷静な外交交渉で解決を図ることが大事です。感情的な対応で緊張をエスカレートさせるようなことは双方が自制すべきです。今回の韓国大統領の竹島上陸問題や尖閣諸島の問題をめぐっても、そうした冷静な対応が重要です。ところが、本決議案は、韓国大統領の竹島上陸を非難するにとどまらず、わが国政府に対しては「韓国政府に対し、毅然(きぜん)とした態度をとり、謝罪・撤回や韓国との外交まで見直し」を求めています。さらに従軍慰安婦問題でも「完全かつ最終的に解決された」として、植民地支配による人道上許されることのできない問題をなんら反省なく解決していると決めつけています。そもそも日本共産党は、竹島の日本の領有権の主張には歴史的にも国際法的にも明確な根拠があると考えています。現在の韓国の実効支配は、1952年に竹島を囲い込む境界線を設定、1954年に常駐守備隊を配備し、占拠するようになったのが始まりです。 一方で、日本が竹島を編入した時期と、日本が韓国を植民地にしていった時期とが重なっているという問題があります。1904年には第1次日韓協約が結ばれ、韓国は事実上、外交権を奪われ、異議申し立てができない状況でした。竹島はその翌年に日本に編入され、1910年には韓国併合条約が結ばれています。日本による植民地支配の歴史を無視したままでは、韓国との間で歴史的事実にもとづく議論はできません。このような冷静な歴史的な事実に基づき双方で解決していくという立場が必要です。しかし本意見書には外交交渉による解決の立場がまったく欠落しており、全体として緊張を激化させるものとなっています。こうした意見書案には、とうてい賛成できません。また、尖閣諸島上陸に対する意見書案は、香港民間活動家の魚釣島への不法上陸行為にかかわって、こうした事態が再発しないよう、わが国政府に対して、「尖閣諸島及びその海域の警備体制・方針を抜本的に見直すとともに、南西諸島の防衛を強化する」よう求めています。これは、もっぱら物理的な対応を強化することに主眼をおいたものであり、看過することはできません。尖閣問題をめぐる紛争問題の解決で何よりも重要なことは、日本政府が、尖閣諸島の領有の歴史上、国際法上の正当性について、国際社会と中国政府に対して理を尽くして主張することです。この点で歴代の日本政府の態度には、1972年の日中国交正常化以来、本腰を入れて日本の領土の正当性を中国側に対して主張してこなかった弱点があります。領土画定の好機だった1978年の日中平和友好条約の交渉過程では、中国のケ小平副首相(当時)が尖閣領有問題の「一時棚上げ」を唱えたのに対し、日本側は領有権を明確な形では主張しませんでした。1992年に中国が「領海および接続水域法」という国内法で尖閣諸島を自国領に含めたことに対しても、日本側は事務レベルの抗議にとどまりました。民主党政権でもその姿勢は同じです。2010年9月の中国漁船衝突事件では「国内法で粛々と対応する」というだけ。尖閣諸島が日本の領土であることは歴史的にも国際法的にも疑いのないことだと述べながら、「領有権の問題はそもそも存在しない」などと主張。この間、30回以上にわたって日中間の首脳会談・懇談、外相会談(電話を含む)が行われましたが、尖閣問題で突っ込んだやりとりがされた形跡はなく、日本政府が国際社会に主張した例も見当たりません。いま、日中間、日韓間での領土問題をめぐって、国がやるべきは、双方の政府に冷静な対応、外交的話し合いでの解決を求めることです。隣国との領土問題での感情的対立をあおり、緊張を激化させる立場は取るべきではありません。このことを強く主張し、両意見書案には反対します。

「税制全体の抜本改革の確実な実施を求める意見書」
この意見書案は、消費税増税を前提とした、税制改革を求めていますが、消費税増税そのものは民・自・公の密室談合の3党合意によって強行採決され、逆進性対策を先送りし、富裕層へのわずかな増税も削除したむきだしの庶民増税法そのものです。所得が低い人ほど負担が重くなる逆進性は、消費税の根本欠陥のひとつです。民主党政権も消費税の逆進性を否定できず、当初の政府案は「低所得者に配慮した再分配に関する総合的な施策を導入する」としていました。これが民自公3党の談合によって検討課題に格下げされ、先送りされました。所得税が控除額より少ない低所得者に現金を給付する「給付付き税額控除」や一部品目の消費税率を一般の消費税率より低くする「複数税率」を掲げていますが、何も具体化できていません。3党間の議論がまとまる見通しも立たない状況です。何より、大増税を前提にして逆進性を多少緩和する策を取ったとしても問題の解決にはなりません。これらの対策が取られても消費税のもうひとつの根本欠陥である中小企業の「損税」は少しも緩和されません。「損税」は主に中小企業が販売価格に消費税分を転嫁できずに身銭を切らされることによって生じます。財務省主税局出身の森信茂樹中央大学教授は「益税が存在しないどころか、転嫁できない損税が生じている」とのべ、「損税」が約5千億円に上るという試算を示しています。 当初の政府案には「税体系全体の再分配機能を回復」させるとして、わずか5%ながらも所得税と相続税の最高税率を引き上げる条項を盛り込んでいました。民自公3党の談合は、これらの条項すらすべて削除してしまいました。所得税の最高税率は1986年の70%から現在の40%へ大幅に引き下げられ、税率のきざみは15段階から6段階に緩和されました。それに加えて金融所得の超低税率があります。富裕層ほど所得に占める株取引のもうけなどの割合が大きく、財務省の資料によると所得100億円では株式譲渡所得が9割を超えています。株式譲渡所得の税率は分離課税で20%に抑えられ、さらに証券優遇税制で10%に減税されてきました。政府の方針通りに所得税の最高税率を5%引き上げ、13年末までの証券優遇税制を延長せずに20%に戻しても“焼け石に水”です。消費税増税は暮らしと経済を破壊し貧困と格差を拡大します。消費税という欠陥税を倍増し、逆進性と「損税」の矛盾を激化させることそのものを中止すべきです。消費税増税はただちに中止し、国民の所得を増やす経済改革とともに、むだの一掃と大企業・富裕層への適正な課税、累進課税の強化を段階的にすすめ、財政危機を抑えながら社会保障の再生・充実を図る道への根本転換が求められます。今回の消費税増税を前提とした本意見書案には反対します。

「中小企業の成長支援策の拡充を求める意見書」
平成22年6月18日閣議決定された中小企業憲章では、「中小企業は経済をけん引する力であり、社会の主役である」と規定されています。この基本に基づいた支援策を総合的に求めると同時に、要望項目の3番の「国内立地推進事業費補助金」の拡大について、平成23年度補助金の1次2次募集では、中小企業へは45%の採択数となっています。中小企業憲章の精神に基づき、今後さらに中小企業分野へ拡大するよう求め、討論とします。

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日本共産党大分県議団
2012年9月13日質疑