2012年第2回定例会

会期 6月19日から7月4日

以下の議事録は正式な議事録ではありません
**正式な議事録につきましては、大分県議会ホームページをご覧ください**

6月28日 質疑
内需指導の県経済への転換・誘致企業の雇用問題について 
原発再稼働問題と再生可能エネルギーの振興について 
災害廃棄物の受入れについて 

7月4日 討論
大分県立学校職員及び大分県市町村立学校県費負担職員定数条例の一部改正について(反対討論) 
震災がれきの受入れについて(不採択に反対討論) 
災害廃棄物の広域処理について(不採択に反対討論) 
昨今の厚生労働省におけるたばこ政策に反対する意見書の提出について(反対討論) 
尖閣諸島の実効支配を推進するための法整備を求める意見書について(反対討論) 


6月28日 質疑

「内需主導の県経済への転換・誘致企業の雇用問題」
堤県議
県政諸般の報告では、「企業立地によって生産活動の拡大、雇用環境の改善など県経済への波及効果が期待される」としているが、果たして県経済は本当にこのような期待に満ちた状況となっているのか。県内経済の状況では、雇用者数は、知事就任前の平成14年度と21年度の比較で5,180人減少し、一人あたりの雇用者報酬でも、435万円から403万円に約32万円も減少している。農業就業人口も平成12年と22年の比較で65,150人から43,977人で△21,173人。農業産出額も平成14年と22年の比較では1,460億円から1,312億円になり、148億円も減少している。企業倒産も平成23年では68件と、一部の半導体大企業を除いて個人消費は減少し、多くの県民は景気が回復しているとは到底実感できず、県内経済は疲弊しているのが実態と言えます。一部の誘致企業が県経済を引っ張っているという認識は、圧倒的多数の中小企業や県民の認識とかけ離れているとしか言いようがない。誘致大企業頼みではなくて、大分県の自然、資源、歴史や文化、技術、人材などを生かした内発型で地域循環型の経済政策に転換すべきだが、答弁を求めます。
また雇用をめぐる状況も深刻である。働き方については安定雇用の拡大ではなく、非正規雇用が拡大をしている。平成21年度の非正規労働者数は、大分県では約176,000人います。ある20歳台の若者は「年間150万円の給料しかなく、家族同居だから何とか生活できる。ハローワーク紹介の会社に面接に行っても20倍の競争でなかなか就職もできず、結婚もできない」と嘆いている。若者にこのような将来の夢が持てないような大分県で良いのか。安定雇用の拡大を誘致企業に強く申し入れるべきであり、立地協定書にも明記すべきである。答弁を求めます。
そして大分キャノンの派遣切りや東芝大分工場の配置転換、日本テキサスインスツルメンツ日出工場の工場閉鎖に伴う雇用問題について、その後の進展や工場閉鎖についての状況はどうなっているのか。さらに県としての雇用安定のための方策はどう取ってきたのか。併せて答弁を求めます。

広瀬知事
経済対策について
雇用者数は、全国では、この10年で4490万人から4297万に4.3%減少しているが、本県では305千人から297千人と2.7%の減少にとどまっている。これは中小企業の雇用者数が、全国、本県とも9.1%減少したのに対し、本県の場合、進出企業を中心として大企業の雇用者が51.5%増加したことによるものと考えられる。
また、報酬は全国でも403万円から380万円に5.8%減少しており、これは、この間の経済状況を反映した全国的な傾向だと思いますが、一人当たりの額は本県が全国を上回っている状況である。こうした事は、これまで半導体関連や精密機械、自動車産業など、時代の最先端のものづくり企業を誘致し、誘致企業と地場企業が共に発展する仕組みづくりに努めてきた一つの成果だと考えている。今後も、成長が見込まれる医療機器関連産業やエネルギー産業などの集積を進めていきたいと思う。
また、農業分野でも企業参入を進め、誘致した企業を核とした新たなビジネスモデルの確立を目指すと共に、国内需要の減少を踏まえ、農林水産物の輸出拡大にも取り組んでいる所です。現在、世界的に経済が低迷しているが、決して誘致した企業のみが県経済を牽引しているのではなく、ともに成長している地場企業や生産者がしっかりと県経済を支えていると認識しており、今後とも、外からの活力を取り込む企業誘致と共に内なる県内中小企業や農林水産産業の底力に磨きをかけていきたいと考えている。

雇用対策について
企業誘致を推進し、雇用機会を拡大することは、県経済の成長を図り地域を活性化する上で重要な要素である。このため、立地協定において従業員の採用にあたっては地元雇用への優先的な配慮を定めており、補助金交付にあたっても、新規常用雇用を交付条件としている。大分キヤノンでは、ほぼ全ての社員が直接雇用に切り替えられていると伺っているほか、本年5月に操業開始した日田キヤノンマテリアルにおいては、全員が常用雇用で、親会社からの出向を除く従業員の8割以上が県内出身者。また、東芝大分工場からは配置転換について、グループ全体で人員の再配置を進め、今期中に完了すると伺っており、日本テキサスインスツルメンツからは、日出工場に関して、従業員の雇用継続を考えながら、譲渡先の特定に努めていると聞いている。なお、厳しい経済環境の中、若年者の就職率向上にも取り組んでおり、今年3月末における新規高校卒業者の就職内定率は98.7%と、昨年よりも0.6%ポイント上昇した。これは8年連続で九州トップの内定率である。大分県の有効求人倍率は、今年1月には33カ月ぶりに0.7倍台まで回復したが、なお厳しい雇用情勢にあることから、今後も雇用対策にしっかりと取り組んでいく。

堤県議
中小企業の雇用者が減少すると言う事は、中小企業の倒産が続いてきて、地域経済そのものが疲弊しているということの表れだ。地域から経済を発展させるという事に力点をおくべきという立場で質問をした。再度それについて答弁を求めます。
雇用の問題で日本テキサスインスツルメンツ日出工場の現在の状況はどうなっているのか。これ以外の誘致企業で、雇用調整をしている企業があるのか答弁を求めます。

広瀬知事
大分県の経済の活性化や雇用機会の拡大はあらゆる手を打っていくという事が大事である。企業誘致だけをやっているわけではない。企業誘致も大事だし、その誘致企業と県内の中小企業が一緒になりビジネスチャンスを広げていくという事も大事。かねてからある大分県の中小企業がそれぞれに仕事を拡大していくという事も大事。色んな形で企業の活性化を図りながらそのなかで、県内の若者の雇用機会を拡大していくという事ではないかと思っている。なかなか厳しい時代で全てついて思うように行きませんが、全国的、世界の状況で思うようにはいかないが、大分県として出来る事はやっているという思うでやって行く。日本テキサスインスツルメンツ日出工場は譲渡先の特定に努めているということ以上は聞いていない。大きな雇用調整に入っている企業に関して、今は聞いていない。

堤県議

日本テキサスインスツルメンツ日出工場は譲渡先が見つからない場合は県としてどのような救済策を考えているのか。立地協定書の中には安定雇用は明記されていない。地元の雇用を優先するとだけある。協定書の中に安定雇用を明記するべき。答弁と求めます。

山本商工労働部長
日本テキサスインスツルメンツ日出工場の譲渡先が見つからなかった場合については、雇用を重視しながら必要な対策をしっかりと取っていく事になる。日本テキサスインスツルメンツの動きをしっかりと見守って行く。安定雇用については補助金の交付の際、引き続きしっかりと雇用の維持をしてもらうようにお願いしている。現時点では、立地協定書は今までの運用になる。

「原発再稼動問題と再生可能エネルギーの振興について」
堤県議
 県民の安全の観点から、原発の再稼動問題及び再生可能エネルギーの普及問題などは、多くの県民の関心となっている。
 政府は「国民生活や経済活動に大きな支障を及ぼす」として電力不足を声高に唱え、大飯原発34号機の再稼動は必要としてゴーサインを出した。今回の再稼動決定は、福島原発の事故原因も分からないまま、とりあえず暫定の「安全基準」として30項目を政府が指示したが、防潮堤のかさ上げすらできていない。免震事務棟も3年先。それからベント(排気)対策なども先送り。そういう状況のもとで再稼働ということは本来考えられないことである。しかも政府は、電力不足をひとつの脅しにして、再稼働を迫るというようなやり方はあまりにもひどいのではないか。「原発0」の決断をすることが、いろんな問題を解決するうえで非常に大事である。今後九州電力管内の原発及び伊方原発についても、この「原発0」の立場から再稼動させないという姿勢を国に示すことが必要ではないか。答弁を求めます。
本来「原発ゼロ」の立場を明確にしてこそ、再生可能エネルギー開発も本腰を入れて進めることができる。知事は、報告の中で「再生可能エネルギーの開発を進め、エネルギー産業を県経済の新たな牽引産業にする」と表明しているが、県としてエネルギー産業企業会の立ち上げや「新エネ・省エネ導入総合支援事業」で、また経済産業省や環境省でも「再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度」や「温泉エネルギー活用加速化事業」等実施されている。牽引産業にするくらいの意気込みであれば、予算を増やし徹底的に重点投資すべきではないか。そうしてこそ産業が活性化し、雇用の拡大にもつながる。今後県政としてどのようにこの分野を位置付け、牽引産業にしていくとしているのか答弁を求めます。


山本商工労働部長
原子力発電について
福島第一原発の事故から二度目の夏を迎えるが、いまだに電力の安定した供給が確保されず、県民生活に大きな影響を及ぼす計画停電や大規模停電の可能性が、万一とはいえ議論されていることは、極めて残念である。発電量の約3割を占めていた原子力発電の多くが停止したままでは、国民生活や経済活動に多大な影響を及ぼすことが危惧される。少なくとも当面は、原子力発電について、国及び電力会社の責任において、しっかりと安全性を確保し、住民の理解を得ることが重要であると認識している。
再生可能エネルギーについて
エネルギー産業は、2020年に約200兆円の巨大な世界市場になると言われている。本県には半導体や自動車産業などで培われたてきた、ものづくりの基盤技術が集積しており、エネルギー産業は本県の成長産業となる可能性を秘めている。既存の温泉井戸を活用した『湯けむり発電』など、既に全国的な注目を集める取組も生まれており、このような地場企業の優れた技術を活用しながら、再生可能エネルギーの導入拡大を図って行く。また、県内企業、電力等のエネルギー事業者、大学などで構成する大分県エネルギー産業企業会を中心に、大きく速い変化を受け止めながら、研究開発、人材育成、販路開拓等にスピード感を持って取り組む。今後とも、本県の特色と強みを十分に発揮し、再生可能エネルギー導入のトップランナーとして、エネルギー政策日本一の先進県づくりを進めていく。

堤県議
再生可能エネルギーについては、個人住宅の太陽光発電の県の補助金は終わっているが、国は2年間あるが、県として具体的に太陽光発電の市場を拡大する事を検討しているのか。また担当課である工業振興課のエネルギー推進班を推進室にして重点的にやって行くと姿勢は必要ではないか。

山本商工労働部長
住宅用太陽光発電システムについては、もっかの節電特にピークカットという中で大きく動いていると認識しているが、一番大きな動きの基になっているのは、7月から施行される固定価格買い取り制度です。住宅の屋根を利用した太陽光発電システムの位置づけが新しく動いてくるので、動向をしっかりホローしながら大分県において如何に太陽光発電システムというものが、地域の持続的なエネルギーのインフラとなるかという観点、ビジネスモデルもしっかり確認をしながら県内で進めていく。推進体制について工業振興課のエネルギー推進班を新設した。再生可能エネルギーについては地域にどのような資源があるか、またそれをどのように実践していくかについては、専門的知識と知見が必要になってくる。このような知見はオール県庁で集約し実践していく必要があると考えている。商工労働部がまとめ役になりながら県庁全体で進めていく。

堤県議
全庁的に推進していく推進室を検討すべき。

「災害廃棄物の受け入れについて」
堤県議
太平洋セメントへの災害廃棄物の受け入れ問題は、県民にとって大きな関心となっている。災害廃棄物について津久見市の自治会や地域住民及び農漁業者の受け入れ反対の意見を尊重することが大切です。太平洋セメント大分工場のある入船地区の住民からは、「今でも煙突からの煙は匂いがあるのに、放射能が取れるわけがない」と生活実態から受け入れに反対の立場を表明している。第一回定例会での議会決議は「厳格な検査を実施し、安全基準をクリアしたものを前提にした広域処理について県民の理解を図りながら要請し」となっている。原発事故というこれまで経験したことのない異質の災害に対し、住民の不安や農漁業者の風評被害への不安を感じるのは当然のこと。県としてまだ住民の理解が得られていない現状での受け入れ推進はするべきではないと考えるが、答弁を求めます。また国に対しては、広域処理の予算だけではなく、住民説明会やがれきの放射能検査、住民への情報の公表、風評被害対策など、人的配置も含めて対策を求めるべきではないか。併せて国では第4次環境基本計画で「災害廃棄物について建設資材や木質バイオマス発電に活用するなどできる限り再利用を図り、地域における循環型社会の構築を進める」とうたっている。この立場を再度県として国に強くあげるべきではないか。併せて答弁を求めます。

広瀬知事
県では、広域処理の実現に向けて、受け入れる災害廃棄物は、放射性物質として扱う必要のない、放射能濃度1sあたり100ベクレル以下とする基準を設け、また、現地での搬出から、受入、処理完了までの各段階において、放射能濃度や線量を測定する安全確認体制を確立し、こうした安全対策について、住民の皆さんに丁寧に説明してきた。受入れに当たり、議会から決議をいただいた三点そのまま実行している。今後も、皆さんの不安や疑問に対して、丁寧にかつ分かりやすくお答えしていくことで、その解消を図り、広域処理の受入れを進めてまいりたいと考えている。次に、国に対する働きかけですが、これまでも全国知事会を通じて、情報公開や専門家の派遣等を要望してきたが、これに対し、国からは、全面的に協力すると回答をいただいた。また、風評被害に対しては、県として相談窓口を設け、全庁体制で取り組むこととしているが、国も『責任をもって対応する』ということを明確に言っており、確認をしてきた。次に、災害廃棄物の再利用についての国への提言でありますが、現在、被災地においては、国のマスタープランにのっとり、災害廃棄物の処理を行っており、この中で廃棄物の再資源化、リサイクルが行われています。中でも、コンクリートくずを防潮堤の基礎材料とする事業などは、被災地の再生につながるもので、有効な現地処理方法の一つであると思います。また、本県で検討している太平洋セメント株式会社大分工場での受入れ・処理は、災害廃棄物をセメントの原料として活用すると言う事で、これも災害廃棄物の再利用という点では、まさに「第4次環境基本計画」にも沿ったものであると考えている。皆様にはご注意、ご心配を頭入れながら一つ一つ対応をしている。引き続きご理解をいただく努力を進めていきたいと思っている。議員各位にはご理解をいただきたい。

堤県議
国に対して人的支援も含めて求めていくべき。527日の津久見市での説明会には国の担当者がきてなかった。本来あのような説明会には国の担当者も入れて国の責任で行うべき。国に対して強く要望すべき。マスコミ報道では、太平洋セメント大分工場の受け入れについて、「会社として地元の同意が前提」と報道されているが、これを県としてどこまでを持って地元の同意とするのか。

広瀬知事
受け入れる市が自らやる事ではない。企業として受け入れてやれるかどうかという事だから、当然地元の同意が必要になる。県としてもそれを、理解をしてやらなければならない。具体的にここまでが同意とは言えないが、出来るだけ丁寧に説明しながら同意を広げて。かなり津久見市内でも理解と同意輪が広がっていると思う。それをもう少し丁寧にやって行きたいと思う。

堤県議
妻の実家も津久見で入船町を通って行くが、地元住民は非常に心配をしている。その点からも理解を得て行くという事を大前提にすべき。県下市町村は取組みに温度差があるようだが、県としての認識はどうか

直野生活環境部長
全市町村に対して、取組み状況を調査した。その中で大分市が具体的に三つの事を上げて検討中だと回答があった。それ以外の市町村は、動きはない。県として基本的には市町村が判断すると言う立場に立っている。今現在は調査をして把握をしている所です。



7月4日 討論
「大分県立学校職員及び大分県市町村立学校県費負担教職員定数条例の一部改正について」 
文教警察委員会では、今回の条例の一部改正について質疑する人もなく承認されたと聞いています。教職員の定数削減に対し発言がないということは、非常に残念であるということを、まず指摘しておきます。
今回の条例改正で、市町村立学校県費負担教職員の定数が、45人削減され7,537人に。県立学校職員は県立高校の全日制の定数は減りますが、特別支援学校のクラス増や定時制等の増加により20人増員され、3,758人になっています。今学校は教育リストラのもと多くの統廃合が行われています。本来少人数の中でこそ子供に寄り添った教育ができるのに、一律にクラスの数だけで統廃合等が判断され、地域の教育の拠点がなくなっていっています。さらに学校現場の状況は、病気休職者の人数の推移を見れば厳しい状況ということが分かります。平成22年年度の休職者は107名ですが、平成23年度は119名となっています。特に精神疾患が増えているのが特徴です。この10年間で心疾患及び自殺での死亡者が、21人にも上っています。 人間関係や教育方針など様々な要因はあると思いますが、正規教職員の増員で少人数学級を他学年にも拡大し、その負担を少しでも軽くすることが県の責務ではないでしょうか。また教師同士、学校同士を競わせる人事評価システムや全学校を対象にした基礎・基本の定着調査等の学力テストの実施、難関大学への進学力を競わせるなど、競争するシステムで教師が縛られ、精神疾患等の増加につながっているのが実態です。しかしそのような状況下でも教職員は保護者や子どもの声に真摯に向かい合い、様々な創意工夫でわかる授業やいじめ対策など取り組んでいます。このような教職員を応援するためにも、定数削減ではなく、教育環境の整備や無理な統廃合の中止、及び正規教職員の増員を県として行うべきであるということを求めて反対討論とします。

「震災がれきの受け入れについて」及び「災害廃棄物の広域処理について」
 今回の請願では、「受け入れについては十分な調査を尽くして慎重な対応をし、周辺住民の同意を得ること」「県民への説明を十分行い、最新の状況を考慮して被災地自治体の望む支援をすること」と主張しています。これは受け入れ拒否を訴えているわけではありません。地域住民とすれば当然の要望ではないでしょうか。県議会でも第1回定例会で「厳格な検査を実施し、安全基準をクリアしたものを前提にした広域処理について県民の理解を図りながら要請し」となっています。 請願趣旨とほぼ同じではないでしょうか。委員会での議論を聞いていましたが、県としても「津久見市の全区を対象に丁寧な説明を行い、住民の理解を進めながら、太平洋セメント大分工場に実証実験の実施について協力を要請する」としています。請願の趣旨ともほぼ同様です。しかし委員会としては「県議会で決議された内容の中に、請願に書かれていることは含まれている。だから決議したことを尊重してやればよいのではないか」として不採択にしました。私は質疑でも指摘しましたが、原発事故というこれまで経験したことのない異質の事故に対し、住民の不安や農漁業者の風評被害への不安を感じるのは当然のことです。その不安は県へ寄せられたメールや陳情の件数等を見ても明らかです。県議会として、このような地域住民の声に真摯にこたえ、不安を払しょくするためにも、県議会で採択された決議と同趣旨の本請願は採択されるべきものであることを主張し討論とします。

「昨今の厚生労働省におけるたばこ政策に反対する意見書の提出について」
 今回の請願は大分県たばこ耕作組合、たばこ販売連絡協議会、飲食業生活衛生同業組合、旅館ホテル生活衛生同業組合から提出されています。いずれの業種も景気低迷の中大変厳しい営業を余儀なくされています。また葉たばこ農家は、禁煙率の増加で日本たばこ産業による需給調整によって多くが廃農や転作を余儀なくされているのが実態です。本来国等がやるべきことは、景気対策と転作してもしっかりと営農が続けられる手助けをすることです。本請願では、禁煙等の数値目標の設定に反対しています。確かに数値目標の設定は行きすぎた管理社会になるのではないかという不安はありますが、成人の喫煙、未成年者の喫煙、妊娠中の喫煙及び受動喫煙の割合の低下について目標を設定することは、最小限やむをえないことだと考えます。なによりも、喫煙による健康被害を回避することが大切であると同時に、提案者が心配している耕作農家の減収や零細たばこ販売店や飲食店が営業を続けていくことができなくなるのではないかという声に、国としても真剣な対策をとる必要があります。そして先ほど述べたように生業ができる経済社会への転換、及び農業施策の抜本的改革を行い、農業で生活できることこそ求めるべきだと考えます。

「尖閣諸島の実効支配を推進するための法整備を求める意見書」
 尖閣諸島は、1895年1月の日本政府閣議決定によって、日本領に編入して以来、日本の実効支配がおこなわれてきたものです。戦後の一時期、アメリカの施政権下に置かれましたが、1972年に施政権が日本に返還され今日に至っています。日本共産党は、尖閣諸島が日本に帰属しているという見解を1972年に発表し、歴史的にも国際法上も日本が領有している明確な根拠があることを明らかにしてきました。2010年には領有の正当性について改めて明らかにし、日本政府並びに各国政府にわが党の見解を伝えてきました。中国側は1970年以降になって突如、領有権を主張し始めましたが、その主張は成り立ちません。何よりも1895年以来75年間、一度も日本領有に対して異議も抗議もしていないのです。中国の領有権の主張に正当性はありません。しかし同時に、尖閣諸島をめぐる紛争を解決するために何よりも重要なことは、軍事的な対応策や強硬策ではなく、日本政府が尖閣諸島の領有の歴史上、国際法上の正当性について、国際社会及び中国政府に対して、理をつくして堂々と主張し、外交努力を尽くすことです。この点で、歴代の日本政府には大きな弱点がありました。日本共産党は、中国政府が事態をエスカレートさせたり緊張を高める対応を避け、冷静な言動や対応をとるよう求めると同時に、日中両政府が、問題を話し合いで平和的に解決するよう、いっそうの外交努力を呼びかけるものです。この立場を明確にして本意見書案には反対致します。


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日本共産党大分県議団
2012年6月28日質疑