2011年第4回定例会

会期 11月28
日から12月13日

以下の議事録は正式な議事録ではありません
**正式な議事録につきましては、大分県議会ホームページをご覧ください**

12月5日 決算認定に対する討論
22年度大分県一般会計歳入歳出決算の認定について 
22年度大分県流通団地造成事業特別会計歳入歳出決算認定について 
22年大分県臨海工業地帯建設事業特別会計歳入歳出の認定について 
22年度大分県港湾施設整備事業特別会計歳入歳出決算の認定について 
22年度大分県工業用水道事業会計の認定について 

12月7日 質疑
TPPについて 
原子力事故対策について 
職員の給与に関する条例等の一部改正について 

12月13日 討論
職員の給与に関する条例等の一部改正について 
大分県長期総合計画の変更について 
おおいた農山漁村活性化戦略2005の変更について 
原子力発電所の警備に関する意見書について 
郵政改革法案の速やかな成立を求める意見書について 




12月5日 決算認定に対する討論
91号議案「平成22年度大分県一般会計歳入歳出決算の認定について」
日本共産党としてすべての決算に反対というわけではありません。県民の要求が一定程度反映されている支出等も含まれていますが、全体的には住民のくらし・福祉応援の予算になっていないことをまず指摘します。

 今回の歳入決算6,0519,239万円について、地方交付税はやや増加していますが、住民税の増税によって県民の税負担も増えており、その上県税の不納付欠損金処理も増えています。これは県民の中に貧困と格差が拡大していることを示すものだと考えます。県民の暮らしや福祉を充実させ、それによって県税収入など自主財源が伸びる施策を取らなければなりません。緊急に財政調整基金を取り崩し、暮らし応援の予算を増やすべきです。また県債発行残高も毎年増加しており、公債費の増加によって県民向けの予算の削減や、中期行財政運営ビジョンによって、県職員の削減が進められてきています。その結果実質収支額も243100万円の黒字を計上していますが、県民犠牲による黒字となっているのが現状です。本来地方自治体としてはこのような県民の疲弊した暮らしを、いかに応援し向上させるかが問われています。歳出について、約5,928億円に上る歳出決算が、地方自治法第1条にうたう「住民の福祉の増進を図る」という自治体本来の任務に即していない算となっていることをまず指摘します。国の悪政によって、中小企業の倒産、農林水産業の疲弊、雇用や社会保障の後退など県民生活がぎりぎりまで追い詰められているのが現状です。国のこのような悪政及び東日本大震災と原発事故による被害と影響から、県民の命と暮らしを守るのが県の責務であります。しかし知事は、相変わらずの補助金漬けの大企業立地優先県政を続けています。 大企業は、日本国内で労働者や中小企業から搾りあげたお金を国民の所得や国内投資にも回さず、海外でのもうけに振り向けています。このシステムが、内需・家計をやせ細らせ、日本を「成長の止まった国」にしてしまったのであります。このような大企業へ、県民の税金である補助金等を使って誘致を進めても県民の暮らしは良くなるはずがありません。こうした結果さらなる貧困と格差が県内でも拡大したのが実態です。知事として「資本金10億円以上の大企業にため込まれた257兆円もの過剰な内部留保と利益を、県民の暮らしに還元せよ」という姿勢に立つべきであり、こうした県政への転換を求めるものです。
以下少し具体的に見ていきます。

@ 雇用対策では「人間らしい雇用のルール」をつくること。
 大分県では、誘致を進めた大分キヤノンやキヤノンマテリアルが、これまで大量の派遣労働者等の首切りを行いました。県として「大企業の身勝手なリストラは許さない」「働くのは正社員が当たり前」という人間らしく働けるルールの確立、及びこのような事態に陥らせた大企業の社会的責任の追及と、過剰な利益や内部留保の還元などを強く求めるべきです。あわせて労働法制の改正審議にも、大分県の実態を示して、製造業での「常用型派遣労働は禁止」のルールを盛り込ませるべきであります。さて働くルールの問題で、もう一つの大きな問題は、県の中期行財政運営ビジョンで県職員数の総定員を大幅に削減するという姿勢であります。大分県知事部局の職員の非正規職員比率は14.2%となっており、給料でも正規職員に比べて低賃金となっています。まさに行財政改革の推進で官制ワーキングプアーを作り出していることになります。一定の職員数の確保で県民サービスの向上と、県職員の労働強化をなくすために非正規職員の解消を求めます。
以上雇用対策の根本的な転換を強く求めるものです。

A 補助金漬けの大企業立地優先政策から、内需拡大、中小企業者を中心とした地域経済の活性化へ転換すること。 わが党がこれまでも要望してきた中小企業者むけ県制度融資枠の拡大等の施策も見られますが、それでも県内の中小企業者の状況は、倒産・廃業が後を絶たず、さらに大型商業施設の撤退等で大分市内の空洞化が進んでいます。このような状況下であるにもかかわらず、決算では企業立地促進事業費34,227万円や工業団地開発推進事業費199,423万円が支出されています。特に大分キヤノン等には、これまで累計で約63億円もの補助金等をつぎ込んで誘致を進めてきました。しかしキヤノンには、20103月で内部留保額が39,870億円もため込まれています。このような内部留保を持っているキヤノンに補助金など出す必要が全くないではありませんか。その上、最近のタイの大洪水によって生産調整が行われ、大分キヤノンの下請け工場で働く非正規労働者に、休業等そのしわ寄せがされています。県として身勝手な生産調整や派遣切り、仕事があれば期間工等の非正規雇用の拡大を行う大企業の立地のために補助金等出すべきではありません。補助金を大分県内の中小企業者が倒産廃業を余儀なくされている現状の改善対策のために使うこと。そしてどのようなリフォームにも活用できる住宅リフォーム助成制度の創設など、地域経済を活性化させる予算へ転換すべきであります。

B 社会保障制度の充実を図っていくこと。子ども医療費の入院助成拡大やヒブ・子宮頸がんワクチン等への支出等県民の声に押され実施している事業もありますが、安心して子どもを医者にかからせるためには、子ども医療費無料化の実現が求められます。国としても「無料化は優先課題として検討していく」と国会で答弁しています。県としてその実現まで待つのではなくぜひ無料化を創設すべきであります。それが「子育て満足度日本一」を目指す県の姿勢であるべきです。後期高齢者医療制度については、即時廃止が多くの高齢者の声であります。国は制度そのものも根本問題は解決せず、名前だけ変えて存続させようとしています。県として差別医療の廃止を国に強く求めるべきであります。介護保険制度についても来年は第5期改定を迎え保険料の値上げや更なる介護難民がつくりだされてしまう内容ともなっています。県として独自の助成を行い安心して介護を受けられる制度への転換が必要であります。また生活保護世帯も平成21年度に比べ1,181世帯増の14,559世帯となり、失業など収入減が最も多い受給理由になっています。国民健康保険税の滞納世帯も35,325世帯、内保険証を取り上げられている資格証明書発行世帯は、4,665世帯となっています。これは県民の暮らしが疲弊をし、まともにお医者さんにもかかれないことを物語っています。さらに国も県も国保の広域化の推進を行おうとしています。広域化は、厚労省保険局長の通達でも「一般会計の繰り入れはなくし保険料の値上げに転嫁せよ」と、さらなる値上げを推進し、ますます払えなくなる人が増え、国保証の取り上げ世帯を増大させる結果になります。県として国保の広域化に反対し、国や県として国保税の値上げを抑えるための緊急支援予算を組むべきであると同時に、国による社会保障費の削減に反対し、住民の福祉を守る防波堤の役割を担うべきです。

C 教育予算の充実で学校教育条件の整備・充実を図ること。
 小12年生及び中学1年生の30人学級やいじめ不登校対策への決算等一定評価できる事業も含まれていますが、人事評価制度実施事業を推進することで教員の選別と競争の激化がもたらされようとしています。子どもたちには、学力テストによる競争教育の継続など、相変わらずの管理・競争教育の施策を推進しています。
さらに毎年「教職員定数条例」によって教職員の定数が削減されています。小中学校の非正規雇用は平成22年度と比べても39名増の806人となっています。その構成比は10.8%に上っており、毎年増えています。県立学校でも平成23年度は562人で構成比も15.2%となっています。教育を受ける子どもや保護者にとっても非正規を正規教職員にすることが求められており、また30人学級の拡大をするためにも定数の削減ではなく、増員にその方向を切り替えるべきであります。
そして3年前の教職員採用を巡る県教育委員会の汚職事件では、実態が解明されていないにもかかわらず、損害賠償と慰謝料の支出がなされています。大分県教育委員会による不正で経済的損失とともに、はかりしれない精神的負担を与えた方々に、損害賠償と慰謝料を支払うことは、最小限の責任として当然のことであります。しかし誰が口利きにかかわり、誰の指示と責任のもとに点数改ざんがやられたのかなど、この事件の核心部分はいまだ明らかにされないもとで、公費という形でなんの責任もない県民に負担をおしつけるやりかたは、到底県民多数の理解を得られるものではありません。本来の教育委員会の役割は、上意下達を廃し、少人数学級の拡大や正規教職員の増員、臨時講師の解消や管理競争教育の解消など学校教育条件の整備・充実することであります。その実現のための予算面からの支援こそ必要であります。この方向への転換を強く求めるものであります。

D 農林水産業の振興
 農業の振興には、米などの主な農産物の再生産を保障する価格保障と所得補償制度を構築させるとともに、これ以上の輸入野放しを許さないという県としての姿勢が県内農業の再生にとって不可欠です。また企業参入や大規模営農にかたよった農政では、多様な生産活動を保障することができません。県内農業を活性化させ、食料自給率の向上や農業の多面的機能の維持は、兼業・高齢者世帯を含む多くの農家が農村に定住し、営農を続けることで可能となります。「非効率」の名で中小農家を切り捨ててきた農業「構造改革」は、農業と農村を衰退させただけでした。農業に従事している多様な農家をできるだけ多く維持することが、農業産出額の増加、食料自給率の向上等につながるのではないでしょうか。あわせて、国が推進しようとしているTPPについても、知事は共同通信社のアンケートで交渉参加賛成のわずか6人の知事の中に入っており、さらなる食料の外国依存を強め、日本農業を壊滅させてしまう方向へ突き進もうとしています。知事として明確に反対の立場を表明し、日本農業を守るべきであります。県として、農林水産業の振興に真剣に取り組み、再生産可能な農林水産業への転換を求めるものです。

日本共産党として今回の一般会計決算について、県民の暮らしと福祉の充実で県民の所得を向上させ、安心して大分県で暮らせる予算への転換、大企業の身勝手な大量解雇に反対し雇用をまもる県政へ。そして大企業に補助金を出すのではなく、疲弊してしまっている地場中小企業者への支援、農林水産業の振興等を県政の中心に据えること。そして原発事故対策の抜本的改革を求めて、一般会計決算の反対討論とします。

96議案「平成22年度大分県流通業務団地造成事業特別会計歳入歳出決算の認定について」
 これは前県政の負の遺産の一つであり、分譲率は1・2工区あわせて65.3%であります。売れなければ県民負担だけが残ってしまいます。これも企業誘致事業の失敗の一形態であります。

102号議案「平成22年度大分県臨海工業地帯建設事業特別会計歳入歳出決算の認定について」
 この事業も先ほどと一緒で負の遺産であります。この事業は、大企業日産の呼び込み方式の事業が破綻した事業です。大企業の身勝手な進出中止も許せませんが、確約のないまま造成工事を先に進めたという県の責任も重大であり、だれもその責任をとろうとしない。さらに売却をしようと思えば大規模な改修工事をしなければならないような土地になっています。まさに大企業奉仕の破綻であり、企業誘致事業の失敗の最たるものです。

103号議案「平成22年度大分県港湾施設整備事業特別会計歳入歳出決算の認定について」 
この決算は港湾管理と重要港湾などの施設建設を目的とした事業です。一部大企業のための事業に県民の税金投入には反対をします。


83号議案「平成22年度大分県工業用水道事業会計決算の認定について」
この事業会計は、低廉で豊富な水を臨海工業地帯の大企業群に供給する事業会計です。大企業に供給している水の料金は、第一期、二期事業では1t当たり880銭、三期事業でも1580銭です。一方、一般市民の飲み水である上水道は、一般家庭で、メーター口径13ミリで1カ月44立方メートル使用したとすると、1t当たりの料金は215円となっています。14倍から24倍もの開きがあり、汚泥処理費など勘案しても、余りに大企業に甘く県民に冷たいと言わざるをえません。
 大分市民の生活にとって一番大切な水利権の確保を最優先し、工業用水との水利権の見直しを行うことが大切だと考えます。
 また、新日鐵、鶴崎共同動力、JX日鉱日石エネルギーなどは、工業用として安く仕入れた水を船舶などへ飲料水として、1182円から197円で転売し利益を得ていることは、県民にとって納得できるものではありません。しかし県は、これを容認するという態度です。自治体として大分市民の飲料水の確保を重点とした住民本位の水道行政への転換を強く求めます。また今回の決算でも、1億円を繰り出し一般会計予算の企業立地促進等基金積立金に積み立てるという内容となっています。あまりにも大企業優先の予算の使われ方です。一般財源として福祉等に使用できるよう求めるものです。


以上各決算認定に対する反対討論を終わります。

                        4回定例会TOP

12月7日 質疑
TPPについて
堤県議
野田首相は、国民にTPP問題について明確な情報を発信せずにAPECで交渉参加表明をしました。農林水産業分野だけではなく、24もの作業部会における関税撤廃や規制等の障壁を緩和するもの。特に、本県では、今回、長期総合計画において農林水産業の産出額目標を平成27年に2,100億円にしようと設定されている。しかし、米の関税撤廃や非関税障壁の緩和、更なる食品の安全基準等の規制緩和が求められてくる。大分県農業を壊滅的状況にしてしまうTPP推進と、産出額目標2,100億円とは両立しないのは明白であるが、答弁を求めます。

知事
コメの関税撤廃や非関税障壁の緩和、食品の安全基準等の規制緩和などによる県内農業の影響については、確かに大きな心配がある。断片的な少ない情報の中で、十分な議論が出来なかった事が、生産者等の不安を招いた一因だと思いますが、政府は、今まさにTPP交渉参加に向けた一歩を踏み出したところであり、これからが大事な時です。交渉にあたりましては、日本の国益をしっかり主張するとともに、交渉相手国の主張など、様々な情報が得られるわけですから、国民生活や国内への影響については、しっかり情報を開示し、デメリットに対する対策も明示しながら、十分議論を尽くすことが重要です。特に影響が大きいと心配される農業分野では、生産者が安心して営農できるよう、対策を講じていくことが大事です。一方、本県の農林水産業は、TPPとの両立を論じる以前に、中山間地の多い不利な条件の中で、担い手の減少や高齢化、耕作放棄地の増加など、早急に解決すべき課題を抱えています。TPPを巡る国の動向を把握することはもちろん大事ですが、まずは、本県農林水産業の構造改革を進めることが、先であると考えています。このため、生産の低コスト化、効率化や付加価値を高めるブランド化の推進に加え、中核となる経営体の確保・育成などに全力で取り組んでいる所です

堤県議
現在の農業が抱えている問題、元々これを推進してきた自民党農政の弊害が出てきた。ウルグアイラウンドの締結等により輸入産品が流入してきて日本の農業をつぶしてきた。根本的な問題を切り替えていく事が大事だと思うが。TPPに交渉に参加しないという前提で考えるべき。アメリカは耕作面積が、100倍オーストラリアは1500倍あり、機械化によってコスト削減も行っている。TPPによって流入してくれば日本の農業、大分県の農業がやってくればどの様な状況になるか明らかだ。だから農業団体の反対の集会等が行われている。90%の農家が廃業する予測がたてられているのです。これでも構造改革して競争に勝てるといえるのか。決定された後では遅いのです。明確に反対の立場をとるべきであると考えるが、再度答弁を求めます。

知事
今日の現状はこれまでの農産物輸入政策がもたらしたという話であるが、はたしてそうでしょうか。そうではなく需要が全体として減退してきたとか担い手の減少し高齢化進んできたそういう構造的な問題が起因すると思っている。そういう中でTPPの議論でそれだけを取り上げて云々と日本農業の将来に対して責任のある対策になるかよく考えてみなければならない。 TPPは交渉参加するという事を表明しただけでこれから交渉に参加してどういうことを主張していくかそして相手国にどういう事を認めさせるかこれからの話。それをあたかもTPPの参加によって日本の農業の将来がないという判断はとらない方がよいと思う。

堤県議
TPP問題についての情報は米通商部から日本に対し要求が出されている。それが今回俎上に上ると国会でも認めている。情報として掴もうと思えば掴める。それを意識的に掴まないのが問題である。今回の大分県農林水産業振興計画では米の産出額は平成21299億円で平成27年度には245億円と54億円も減少する目標値となっている。目標値が設定されているのは米とたばこだけである。生産調整、需要の関係等と説明は受けたが、TPP交渉参加になれば、関税がなくなり、安い外国産の米が入ってくる。それを食い止めるのが知事の責務だと思うがそういう立場に立つべき。

知事
日本の国際化という事と、日本の農業の存立が両立できるような対策を考えながらやっていく事がこれからの知恵。その方向を探っていかなければならない。交渉に参加しなくても情報は入るのではないかということだが、実際に交渉の場で得る情報と外から得る情報は格段の差がある。今までは入っていないので得ている情報は上っ面の情報しかないと思う。そこの所が大変大事だと思う

堤県議
その情報があるから多くの知事は反対をしている。JA中央会などが開催した「TPP反対総決起集会」では、県青年組織協議会の委員長が「県内農業は守るに値しないのか。影響する分野への対策も財政措置もないまま、なぜ知事は交渉に参加すべきと言えるのか」と発言したことが報道されている。大分県内で営農で頑張っている若者たちのこの声にどう答える為にもTPP交渉参加に反対という立場を表明すべき。答弁を求めます。

知事
一生懸命農業に携わっている人たちが、まじめに将来を開く為にもこの問題は真剣に考えて、どちらに行くのがよいか判断をしていかなければならない。みんなが反対しているから反対すればよいというものではない。交渉に参加して善し悪しを判断することが大事な事。

堤県議
東アジアは4カ国しかない。東アジアの主要国である中国や韓国、タイ、インドネシアなどは参加していない。アジアとの連携とTPP参加は両立しない。アジアとの対等互恵の貿易ルールの確立こそ本県は率先して訴えるべきである。答弁を求めます。

知事
人工減少等により内需の縮小が見込まれる中、アジア地域の成長をとりこむ上で、この地域での貿易のルールづくりは、わが国にとって、大変重要であります。アジア地域を含む広域的な貿易ルール作りに向けては、昨年のAPEC横浜会議において、2020年までのアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現への道辻が示された所です。TPPは既に交渉が始まっていることから、このFTAAPを実現するための有力な道辻と考えられています。実際に日本に続きカナダとメキシコが先般交渉参加を表明し、その可能性が高まってきたと言われています。また、FTAAPを目指すこのほかの枠組みとしては、東南アジア諸国連合(ASEAN)に、日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージランドの6カ国を加えたASEAN6や、ASEANに日中韓を加えたASEAN3などがあります。これらについては、交渉入りはしていませんが、検討作業の加速化が11月に首脳レベルで確認されています。我が国は、こうした枠組みでも、アジア太平洋地域の貿易のルールづくりを目指していく事になります。新しい広域的な貿易のルール作りについては、各国の思惑もあり、どういう形で収斂するか分かりませんが、大事な事は、わが国の国益が反映されたルールが作られることです。FTAAPに向けて唯一交渉が始まっているTPPについても、この枠組みが我が国にとって有利なものになるよう、しっかりと国益を主張していくことが大事であると考えています。アジアの活力を取り込むという中の一環としてTPPは位置付けられてよいと思っている。

堤県議
TPPへの参加ではなく、食料主権をはじめ経済主権を尊重し、お互いの国民の暮らしと権利を守るルールを尊重する貿易関係を発展させることをアジアに向けて発信すべきである。

原発事故対策について
堤県議
今回の改訂の中には「原子力事故対策」が全く記載されていません。今年11月1日には、原子力安全委員会が「原子力発電所にかかる防災対策を重点的に充実すべき地域に関する考え方案」を発表している。この中で,これまでのEPZに代えて、予防的防護措置区域(PAZ)、緊急時防護措置区域(UPZ)、プルーム通過時の放射性ヨウ素による甲状腺被ばくを避けるため屋内退避、安定ヨウ素剤服用等の対策を準備する地域(PPA)という対策方針が報告された。 国は、福島原発の事故を受けて区域等の見直しをやろうとしているが、県としても、県民の命と安全を守るという立場に立ち、具体的な原子力事故対策計画を作成すべきである。また、県職員に原子力に関する基礎知識を持ち、原子力防災体制及び組織に関する知識、放射線防護に関する知識、被ばくに対する応急手当ての知識を持った職員の配置をすべきと考えるが、併せて答弁を求めます。

知事
現在、国の原子力安全委員会において、原子力防災指針の見直しなどが進められており、防災対策重点地域をどのくらいの圏域に設定するかについては、現在検討中と聞いています。国の防災指針見直しの結果、防災対策重点地域に本県が含まれる事となれば、県地域防災計画を見直すこととなります。なお、今回の長期総合計画の改定案においては、危機管理の強化における取組として「東日本大震災を教訓として大分県地域防災計画の見直しと着実な推進」と記載しています。次に、原子力に関する専門知識を有する職員の配置についてですが、緊急事態や災害が発生した場合には、放射線防護や被ばくなどの知識を有する技術職員、県立看護科学大学の専門教員などで構成する災害対策連絡室を速やかに立ち上げ、適切に対応する事としています。今回、原発事故が発生したこともあり、県職員に財団法人日本分析センターの環境放射能分析研修やゲルマニウム半導体検出器による測定方法研修、県立看護科学大学の放射線健康科学講義を受講させました。今後も、さらなる防災体制の充実に向けて、職員を専門研修へ派遣するなど、資質の向上も図っていきたいと考えています。

堤県議
PPAという規定では、福島原発事故で放射能を含んだ空気(プルーム)が流れ込んできた範囲は50Kと想定されている。50キロ圏内となれば大分県も含まれる。伊方原発で事故が起きれば、風速5mの時、約2時間30分後にこのプルームが押し寄せてくる。このわずかな時間で屋内退避や避難をするには十分な防災計画やそれに基づく住民への情報提供と周知・訓練が必要だ。だからこそ計画の策定を事故が起きていない今こそ国の動向ではなく県が率先して、原子力事故対策防災計画に変えていくべきだ。

知事
国の結論を見ながら対応していきたい。

堤県議
国の指針を待たなくても可能だ。ワーキンググループの中でも事故が起こるものと想定して事故の拡大防止、影響緩和の為の準備を予めしておく事が必要であるだとか様々な教訓的な事が記載されている。これに基づき県としても今からでも準備が必要だと思うが、その準備も始めないという事か。準備は始めるという方向性で良いのか。

知事
先ほど答弁した通りです。

堤県議
福島原発事故について人災だと思うが知事はどう考えているのか。

知事
結果の事になるが今まさに検証しているのではないかと思う。想定をはるかに超えるような地震津波があった。特に津波があった。人為的にもう少し対策を講じて置けばやれる事があったのかも知れない。対応としてもう少し早く冷却水が流せるような手立てを講じて置けばよかったのではないかとそういう事がこれから出てくる議論だと思う。決めつけないで虚心坦懐にこれからの事を分析することが大事だと思う。

エネルギー政策について
堤県議
原発はどのような対策をとっても、安全とは言えない未完成の技術です。ひとたび事故が起きれば空間的にも地理的にも大きな被害が出る。期限を区切った原発からの撤退と自然エネルギーへの転換を国に求めるべきだが答弁を求めます。

知事
原子力発電の安全性については、私も議員と同じ気持ちで心配しております、しっかりと安全対策を講じなければ大きな事故につながる危険性を持っていると思います。だからこそ、常に安全性を検証し安全対策を強化しながら、住民の理解と納得を得て進めていく事が大切です。脱原発の意見もお伺いしますが、発電量の約3割を占める原子力発電の全てを停止させることは、国民生活や経済活動に多大な影響を及ぼすことが危惧されます。少なくとも当面は、原子力発電については、国及び電力会社の責任において、しっかりと安全性を確保し、住民の理解を得ることが重要と認識しています。中長期的には、再生可能エネルギーを導入拡大し、エネルギー供給のベストミックスを図る事が大事である。国に対しては、既に、全国知事会を通じて、原子力発電所の安全性確保をはじめ、再生可能エネルギーの導入拡大を要望している所です。国のエネルギー政策見直しの議論では、中長期戦力について中間的整理として、@エネルギーのベストミックス、A分散型エネルギーシステムB国民合意の形成の3つの方向性が示され、来年夏頃には決定されることになっています。本県としては、地熱や水力など自然エネルギーの供給量と自給率が日本一の県であることから、国の取組を見ながら、温泉熱や小水力、バイオマスなど特徴のある再生可能エネルギーの導入促進をはじめ、関連産業の振興などエネルギー政策に力を入れてまいります。

堤県議
期限を切った原発からの撤退をこれからも求めていく。

「職員の給与に関する条例等の一部改正」について
堤県議
今回の勧告で給与総額の影響は2,900万円で、平成21年度からの累計では44億4,700万円もの減少です。これに他の分を加えれば莫大な減少となります。職員の勤労意欲や地域経済に与える影響は計り知れないものがあると考えられますが、人事委員会としてどう認識しているのか。

人事委員長
地方公務員の給与については、地方公務員法において、「情勢適応の原則」や「均衡の原則」等が規定されており、人事委員会が勧告・報告を行うにあたっては、公務員と民間の給与較差及び人事院の勧告・報告、国の給与制度、他の都道府県の動向等を総合的に勘案することが求められています。地方公務員の給与の動向は、地域経済を構成する要素の一つではありますが、現行の給与勧告制度は、県民の理解と納得が得られる給与水準を決定する方法として、長年の経緯を経て、定着しているものと認識しております。今年の勧告は、民間給与が依然として厳しい状況にある事から、職員にとりましても厳しい内容となっておりますが、労働基本権が制約されている現行法の下で、適切な給与水準を保障する制度として職員にも理解されているものと考えています。今後とも、地方公務員法の趣旨に基づき、職員の適正な処遇の確保に努めてまいりたいと考えております。

堤県議
給与引き下げによって職員の勤労意欲や地域経済に与える影響はどう考えているか

総務部長
内容的には大変厳しいと認識している。給与のあり方と景気対策は分けて考えるべき。

堤県議
今後もこの議論を続けていく。

                        4回定例会TOP


1213日議案に対する討論
107号議案「職員の給与に関する条例等の一部改正について」
 今回の改定案は、大分県人事委員会の勧告に基づき、月例給の引き下げをおこなうものです。大分県人事委員会の「職員の給与等に関する報告及び勧告」では、民間事業所を抽出し給与実態調査を行ったとあります。一般的に公務労働と民間労働では全く条件や形態が違います。民間は利益を上げるための労働であり、公務は住民サービスのための労働であります。これを同一視して議論することに大きな問題があります。公務員は憲法第15条によって「住民の奉仕者」としての役割が規定されています。また地方公務員法24条では、「職員の給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならない」と規定されています。本来その役割にふさわしい給与規定であるべきなのに、民間給与との比較検討を大きな要因として引き下げを行うことは大きな矛盾があります。今回は、2,900万円の給与削減額となります。平成21年度からの累計では444700万円もの減額です。これに他の公務員の分を加えれば莫大な減少となります。職員の勤労意欲や地域経済に与える影響は計り知れないものがあります。 今回の給与等の削減は、疲弊してしまっている景気の中、さらに大分県内の消費購買力を低下させ、地域経済にとっても大きな悪影響が出るのは明らかです。本来県としてするべきことは、職員の給与削減ではなく、企業立地推進の補助金を廃止し、財政調整基金を使い県職員の給与水準を引き上げるべきであります。民間が下がったから県職員の給与引き下げでは、全体的にさらなる給与の引き下げの連鎖となってしまいます。負の連鎖を直ちにやめるべきであります。また今回の改正では、病気休暇の日数を180日から90日までとし、あわせて病気休職について給料の8割支給を2年から1年に短縮することも含まれています。これによって影響を受けるのは、現時点の170人にとどまらず、全職員にも影響が及びます。生活の心配がなく療養することに逆行するものです。
以上の理由から反対といたします。

114号議案「大分県長期総合計画の変更について
 今回の長期総合計画には、当然施策として推進していかなければならないものも含まれていますが、黙過できない問題も多数含まれています。知事は計画の中で「東日本大震災から多くの教訓を学ぶ」としていますが、私は質疑でも指摘しましたが、今回の総合計画には「原子力発電所事故対策計画」がありません。福島原発事故の教訓をとらえ、県として県民の命と安全を守るという立場に立っていないものです。防災対策はあらゆる問題を想定し、万全の対策をとっておくべきでありますが、「国の動向を見て」という消極的な姿勢しか見えません。計画案には、「地域防災総合計画」の見直しという表現だけで、原発事故対策の具体的な記述すらないというありさまです。これでは県民の命と暮らしを守ることには到底つながらないのは明白であります。 また産業の活力の問題では、相変わらず企業誘致について、「助成の充実、工業団地の整備など」補助金漬けの大企業誘致を積極的に推進しようとしています。県経済や雇用環境の安定にはつながっていないのがこれまでの経験からも明らかになっているではありませんか。さらに雇用対策について、期限の定めのない正規職員の採用を企業に求めるという姿勢が全く見られません。生産調整を行い、非正規切りを行っても静観しているような姿勢では、若者の将来はありません。では農林水産業ではどうでしょうか。知事はTPPへの交渉参加についても賛成の立場であり、米の産出額を減少させる目標を設定し、いくらブランド化など構造改革を推進するといっても、TPPに参加すれば、低コストのコメがアメリカから流入してしまい、日本の米自給率が1割以下という状況に陥ってしまいます。計画の中で明確にTPP参加反対の意思を表明するべきであります。また、教育関係でも「基礎・基本の定着調査」における学力が全国平均以上の児童生徒の割合を70%にすると数値目標を設定しています。これではこの数値目標達成のための詰め込み教育が行われ、ますます学力テストなどテスト一辺倒になってしまいます。そして、さらなる高校の再編整備も推進され、統廃合が進み、教育を受ける権利が制限されてしまいます。子どもたちの健やかな成長と基礎学力の向上は、少人数学級の拡大や正規教職員の増員、臨時講師の解消や管理競争教育の解消など、学校教育条件を整備・充実することで実現されます。計画の中に明確にうたうべきであります。 また、同和問題は終結したにもかかわらず、相変わらず「差別はまだある」として取り組みを強めるとあります。そのための予算も補助金のように委託料という名目で支出がされています。今こそ同和対策のすべてを廃止すべきであります。また、道州制と連動している九州広域行政機構の推進が描かれています。出先機関の廃止など国の責任を投げ捨てるやり方には反対するものであります。
以上「大分県長期総合計画の変更について」の反対討論とします。

117号議案「おおいた農山漁村活性化戦略2005の変更について」
TPPがいかに農林水産業を破壊するかという認識の記載がなく、構造改革によって競争力の強い産業とするのみが際立っている計画です。全く県としてTPP反対の姿勢を貫けないでいます。生産調整があるにしても米の産出額を減少させる目標値の設定には、コメ農家の切り捨てしか見えてきません。そこで以下のように農林水産業の基本の転換を求めるものです。
 現在、国民の命を支える農林水産業の衰退が続き、食料自給率は先進国で最低水準に落ち込んだままです。農山村の崩壊がすすみ、国土の保全が危ぶまれる事態も広がっています。 ところが、政府は、農政の面でも期待を次々に裏切ってきました。農政の目玉とした戸別所得補償では、 (1)所得補償の水準が低すぎ、米価暴落を放置している、(2)転作作物への助成金を全国一律にし、多くの作物で引き下げた、(3)輸入自由化と一体になっている、(4)農林水産予算の総額を削減し、農業振興に必要な予算をバッサリ削った、などの問題点が噴出し、農家の怒りや不信感を広げています。 農業・農村の今日の危機的事態は、大企業製品の輸出を最優先し、食料は輸入すればいいという、自民党政権が長年すすめてきた国づくりに根本原因があります。とりわけ、WTO農業協定を受け入れて、農産物輸入のいっそうの自由化、価格保障の投げ捨て、農林予算の削減などを進めてきたことが、農業と農村の崩壊に拍車をかけました。しかしこのような現状にあるにもかかわらず、政府は、今日の危機をもたらした要の政策である輸入自由化や農業予算の削減、価格保障の否定などは一切転換しようとしていません。「成長戦略」で、輸出大企業の競争力強化を最重点に、アメリカやオーストラリア等とのTPPへの交渉参加を表明しました。さらなる農産物輸入の完全自由化に道を開き、日本農業を壊滅させるといわなければなりません。 21世紀の世界は、「食料は金さえ出せばいつでも輸入できる」時代ではなくなっています。地球環境の保全も人類死活の課題となり、各国の国土を生かした循環型の社会への転換が求められる時代です。大企業製品の貿易拡大を第一にし、農業や食料政策をそれに従わせるという旧態依然たる考え方は、もはや許されません。 農林水産業を再生し、食料自給率を回復することは、国民の生存の根本にかかわる「待ったなし」の課題です。人類社会の持続的な発展にたいする日本の責任でもあります。農林水産業と農山漁村の再生は、輸出偏重で内需が冷え込み、脆弱な体質にされてきた日本経済を内需主導、持続可能な方向へ転換するうえでも不可欠です。 以上のような観点を持った「おおいた農山漁村活性化戦略2005」へ転換することを求めて反対討論とします。

議員提出第29号議案「原子力発電所の警備に関する意見書」について
「既存の原発施設に対するテロ対策」として自衛隊の活動強化を訴えています。これまでも自衛隊は2006年の法改正によってインド洋・アラビア海での補給活動や紛争地帯のイラクへの初めての派兵、海賊対策と称してソマリア沖への海外派兵を強行してきました。今回意見書でも「原発施設を守る」という名のもとで、自衛隊の活動を強化せよと求めています。しかし今国民が一番心を痛め、心配していることは、このようなことでしょうか。多くの国民が求めているのは、原発事故対策で早急な除染と再稼働反対、原発のない日本です。原子力施設の警備は海上保安庁や警察力の強化で、十分対策をとることはできます。テロ対策の名目で自衛隊の活動を拡大することは、憲法に抵触する問題でもあることを指摘し、本意見書への反対討論とします。

議員提出第31号議案「郵政改革法案の速やかな成立を求める意見書」について
 日本共産党は今回の郵政改革法案について、新しく設立される「日本郵政」が金融2社の株式を3分の1保有し続け、金融サービス提供の義務も「日本郵政」に課すだけとなり、金融2社が利潤を追求すれば全国あまねく提供している金融サービスが後退してしまう等の緒問題があるとして法案そのものに反対しています。そして、この法案は、小泉内閣の郵政民営化法によって廃止された、金融のユニバーサル・サービス、郵貯・簡保の全国一律サービス義務を回復し、保障するものになっていないこと。さらに、ゆうちょ銀行の預入限度額の引き上げ、新規事業の拡大で、地域金融、地域経済に混乱をおよぼす懸念があることです。以上の問題点を指摘し、次の三つの基本点を踏まえ、見直しをしていくべきだと考えます。 第一は、郵政民営化によって取り払われた、郵便貯金と簡易生命保険のユニバーサルサービス義務の復活が必要です。国民共有の財産である郵便局ネットワークにおいて、郵便、郵便貯金、簡易生命保険の基本的なサービスを全国あまねく公平に、そして、利用者本位に簡便な方法で提供することを法的に確保すべきです。第二は、四分社化の見直しです。三事業一体で経営されていた郵政事業が、四分社化されたことで、サービスの一体的な提供が阻害されたうえに、郵便局ネットワークの存続も危うくされています。分社化をやめ、一社体制にもどすべきです。 第三に、経営の目的の見直しです。郵便局ネットワークは、国民生活に不可欠なサービスを提供する国民共有のインフラとして営々と築きあげられてきました。この国民共有の財産を利潤追求の道具とするのではなく、公共の福祉のさらなる増進のために効率的に活用することを経営の目的とするべきです。 今回の郵政改革法案は、こうした方向での見直しとはなっておらす、本意見書について反対の立場をとります。
 最後に、今回の意見書提出については、郵便局長が各会派を回り要請に来ました。私も全会派一致で採択できないかと修正案を提出しましたが、残念ながら取り上げられず原案のようになりました。残念であったということを申し述べて討論とします。

                    4回定例会TOP

日本共産党大分県議団
2011年12月13日 上程議案に対して討論
2011年12月7日 質疑
2011年12月5日 決算認定について討論