職員の給与に関する条例等の一部改正について

 今回の改定案は、大分県人事委員会の勧告に基づき、月例給、期末・勤勉手当等の引き下げをおこなうものです。大分県人事委員会の「職員の給与等に関する報告及び勧告」では、民間事業所を抽出し給与実態調査を行ったとあります。
一般的に公務労働と民間労働では全く条件や形態が違います。民間は利益を上げるための労働であり、公務は住民サービスのための労働であります。これを同一視して議論することに大きな問題がある。

公務員は憲法第15条によって「住民の奉仕者」としての役割が規定されています。また、地方公務員法24条では、「職員の給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならない」と規定されています。本来、その役割にふさわしい給与規定であるべきなのに、引き下げの大きな要因として民間給与との比較検討で引き下げを行うことは大きな矛盾がある。
全国でも民間賃金の減少は一年間に平均237千円と過去最大の下落となっています。このような中、県として昨年も282500万円も減額し、今回さらに15,968人に対し159300万円の給与削減の勧告をしています。公務員全体で考えれば、莫大な可処分所得の減額につながる。 
今回の給与等の削減は、疲弊してしまっている景気の中、さらに大分県内の消費購買力を低下させ、地域経済にとっても大きな悪影響が出るのは明らかです。本来県としてしなければならないことは、職員の給与削減ではなく、企業立地推進の補助金を廃止し、財政調整基金を使い県職員の給与水準を引き上げるべきであり、あわせて大企業の社会的責任として、大企業がため込んでいる内部留保の一部を正規雇用の拡大と給与の引き上げにこそ使うべきであります。民間が下がったから県職員の給与引き下げでは、全体的にさらなる給与の引き下げの連鎖となってしまいます。負の連鎖を直ちにやめるべきであります。
また、今回の措置は人事委員会が人事機関として第三者性や専門性、労働基本権の代償機関としての役割を投げ捨てるものであり許せるものではありません。

以上の理由から反対といたします。
第四回定例会トップへ

2010年第4回定例会議案質疑 

教育委員会の不正採用事件
つつみ議員
大分県教育委員会による教員採用や幹部任用を巡っての汚職事件では、8人が起訴され全員の有罪が確定しています。今回の事件は「教員の世界を腐らせ、子どもの教育をゆがめる」全国でも類を見ない最悪の事件です。しかし未だに「だれがどのようにして口利きをして、だれが不正な得点の改ざんを指示したのか」など「不正採用・任用の実態解明はなされていない」というのが県民の圧倒的な声です。それにも関わらず、関係者の処分と言えば給与減額等ですませ、当事者として教育長をはじめ幹部は、誰一人明確な責任をとっていない。ここに大分県の教育行政に対する深い県民の不信と、公費を投入することへの疑問や批判の根源があります。この県民の声に対し、どう認識しているのでしょうか。答弁を求めます。                       

小矢教育長
二年前の事件の事実解明に関しては、教育委員会のプロジェクトチームで徹底的な調査を実施した。この調査は、教育委員会が行政機関としての、権限と責任の下に行ったものであり、その調査結果は全て報告書に記載している。関係者の処分については、懲戒免職7名のほか、私(小矢教育長)も含め20名に対して厳正に行ったところである。県教育委員会の責任として何より大事なことは、二度とこのような事件を起こさないことであり、改善策を迅速・着実に実行し、責任と権限が明確で透明性の高い教育行政システムの確立に取り組んできたその上で、教育の場で成果を上げて教育に対する県民の信頼を回復すべく、学校現場の職員ととともに全力で取り組んできた。今回、賠償金を県の一般財源で支払うことに対して、県民から様々なご意見をいただいているが、できる限り県民の皆様の理解を得られるよう、また、この事件を教育界全体の問題として受け止めるとの思いを何らかの形で県民に示したいとの趣旨のもと、管理職員に対して任意の協力を呼びかけているところです。

つつみ議員
プロジェクトチームの報告の中に不正が行われていたと事実認定されているが具体的な事は明らかにされていない。だからなぜ公金を使うのかと県民は怒る。県教委にも、そういう意見が寄せられている。こういう声にまともに答えなければ公金を投入することに納得しない。全てのうみを出すこと、そこに焦点をあてなければ誰も納得いかない。

小矢教育長
行政機関としての権限と責任の下に行ったものであり、その調査結果は全て報告書に記載している。

つつみ議員
行政機関としても明確にするという事は当然の事賠償は国家賠償法を根拠にしたものと言っているが、なぜ同法に基づき不正事件の関係者に賠償金の支払いを求める、第一条第二項の「求償権」を行使についてどう考えているのか。

小矢教育長
国家賠償法では、県が賠償を行い、加害公務員に故意又は重大な過失があった時は、県は当該公務員に対し求償権を有することなる。今回のような、不正な点数操作により不合格となった50名と和解をし、その損害を賠償する場合、県は個別の事案ごとに求償権を有することになる。したがって、50名一人ひとりの事案ごとに、法的に誰が求償権の対象になり得るのか、そしてそれが故意又は重過失という法律的な要件が備わっているか、また求償する場合その割合はどうなのか、求償権の根拠・要件を積み上げ、県教育委員会の権限と責任において調査し、知りえた事実と照らし合わせ、法律的に確認していく必要がある。こうした求償権の根拠・要件を確認する作業は、高度な法律的判断が求められるものであり、また全国的に参考となる先例も極めて少ないのが実情である。このため、複数の外部の法律専門家に客観的な意見を聞いたうえで、適切に判断し、対応していきたいと考えている。

つつみ議員
50人それぞれに勘案するというが、賠償金は一律40万円である。それがなぜ個別的に検証するという事になるのか。なぜ国家賠償法に基づき「求償権」を行使しないのか。

小矢教育長
議案は一人ひとりに対する賠償額である。50名を並べておりその一人ひとりに対する賠償を承認してもらいたいという議案です。国家賠償法の第一条第二項には故意又は重大な過失が求償の条件。

つつみ議員
先例がないと言うが、先例がない事件を起こしたのは教育委員会そのもの。まったく他人事のような発言で責任感のひとかけらもない。責任取るべき知事、教育長、教育委員長などもっとも責任ある部署にいた幹部が賠償金支払いの責任を負うべきであるのではないか。

広瀬知事
教育長から説明があったように、この問題については、損害を与えて人にはできるだけ統一的な基準で損害額を決めるという作業があった。それを賠償額として提案をしている。それに対する求償というのは加害公務員に対して、故意又は重大な過失があった時には求償できるとあるので、どういう人がどういう加害をしたのか、それぞれのケースによって今知り得ている事実には限りがあるので、そういう中で割り当てて行かなければならないので、教育長の説明通り。

林教育委員長
教育委員会の責任者として二度とこのような事件を起こさない。関係された教員からの声も頂いている。そういうシステムを果敢に進めて行きたい。

つつみ議員
私が質問したのは最高責任者としての身の処し方を質問した。再度質問をします。

広瀬知事
こういう問題が起こった事は申し訳ない残念という事で、既に減給等の処分を受けている。統括者としての責任は感じている。二度とこういうことが起こらないように果敢にしつこく教育改革はやる。教育現場で教育の原点に戻って「知・徳・体」子どもたちをしっかり育んでいく教育の責任をしっかりと果たしていきます。そういう事で責任を果たしていかなければならないと思っている。

林教育委員長
私に課せられた責務はこういった事件が二度と起こらないように、システムの改造をやってきた。それから先生たちとの信頼関係を構築する、子どもたちの夢を実現するのは何をしたら良いか。そういった事に果敢に挑戦する。これに尽きるとおもう。

小矢教育長
事件の発覚以来、事件の背景、要因等を徹底的に調査するとともに、本県教育の再生を誓い改革、改善策を迅速着実に実行してきた。私の責任は二年前の責任をけっして風化させることなく二度とこうした事態を引き起こさないようにしっかりとした行政システムを構築し教育の成果を上げて行く事であり、今その責任を果たすべく不退転の決意で取り組んでいる。

つつみ議員
教育長は協力金について自ら負担する考えはあるのか

小矢教育長
協力金については、教育委員会の管理職員が申し出ている。全体の9割を超えた管理職員が協力するとなっている。私も当然その中の一人である。

つつみ議員
協力金も問題がある。「私たちにとって踏み絵だから仕方なく協力した」といった様々な意見が出されている。直接の責任のない学校現場の管理職から協力金を募ることは全くの筋違いであり、責任転嫁ではありませんか。汚職事件から真の教訓をくみ取らず、それに逆行する県教委に対し、「物言えない」「逆らえない」という教育現場の風潮を、ますます強くするのではないか。

林教育委員長
賠償金を県の一般財源で支払う事について、できる限り県民の皆様の理解を得られるよう、またこの事件を、教育界全体の問題として受け止める、との思いを何らかの形で示したいとの趣旨の下、教育庁の管理職員や学校の管理職等に任意の協力を呼びかけた。管理職員に対しては、協力金の趣旨を丁寧に説明し、9割以上の管理職の方が、その主旨を理解し賛同いただいたものと考えている。なお、県教委員会としては、教育行政を進めるにあたり、学校現場とも相互に課題認識を共有し、同じ方向で取り組むことが重要と考えている。このため、私も含め教育委員や教育庁幹部職員が地区別に出かけ、全小中学校の校長と自由な意見交換を行っており、その中では、あらゆる課題について率直な意見が積極的に出されている。議員ご指摘のような状況にあるとは考えていない。

つつみ議員
説明では9割方が自主的に出しましょうという事だが、私は9割の方が自分から進んで本当に出しましょうとはならないと思う。半強制的じゃないかという声が聞こえてくる。任意とはいえない。教育委員会の言う事には逆らえない、という風潮が事件の根本にあった。自由にものが言える教育委員会制度にしなければ、本当の解決にならない。

林教育委員長
そういう教育委員会であったと議員言われましたが、まさにそうよう所が問題だったと考えている。事件を契機に現場の先生と意思疎通を徹底的に図っていきたい。

つつみ議員
マスコミ報道では校長会、教頭会、センター、所長等で、約1200人からの協力金を求めていると言っている。単純に計算しても30004000万の金額になると思うが、今回8700万で出されているが、その差額は基本的に税金で穴埋めするという考えか

小矢教育長
国家賠償法では県が賠償するに責任に任ずるということですから、これは県が一般財源によって賠償して頂くという事になる。しかし幹部職員で県民に対する我々の思いを示そうという事もあり、協力金を募った。これはあくまで任意であるので、それを県に寄付をさせて頂く、そして、その財源の一部に充てて頂きたいという趣旨である

つつみ議員
任意で支払うと言っているが、任意の金額とは

広瀬知事
協力金を出すつもりはない。この問題は教育会全体で受け止めてやっていく問題、課題ではないかという話だったので、それはそれで寄付があれば受けましょうという事になった。任意だから金額を答える必要はないのではないか

小矢教育長
あくまで任意でありますので、私がいくらか、それから報道で出ていたような校長がいくらかとか発表したことはない。あくまで任意で、協力して頂く方に協力してもらうというシステム

つつみ議員
任意だからそれで事足りるという事ではない。こういう事件を起こした最高責任者としてどういう形で責任を取るのかと、県民として聞くのは当然の事。金額をなぜ言わなければいけないのかとかいうのはおかしい言い分だ逸失利益の計算は端数まできちんと計算するべきではないか。また、和解に応じていない4人の方々は「賠償の必要はない」「金額等の問題」で色々意見を持っている方がいると聞いている。支払う人支払わない人が出ればおかしくなる。どう説明と納得を得ていくのか

小矢教育長
残念ながら4名の方々と和解ができなかった。これからも性家思って話し合いを持っていきたいと思っている。

つつみ議員
1117日開催の教育委員会臨時会の議事録が非公開となっているが、氏名等は伏せたとしても議論した内容は県民に明らかにすべきでないか。

林教育委員長
1117日の賠償に関する協議は、個人情報の保護や委員の率直な意見交換を担保する観点から、地方教育行政のそ敷く及び運営に関する法律第13条第6項に基づき、会議を非公開と議決して開催したところであり、議事録も該当部分は非公開としている。しかし今回の協議は極めて重要で県民の関心の高い事柄であることから、私と教育長が委員会の会議終了後記者会見を開催し、当日の議論や確認・了承された事項について、県民に丁寧に説明を行ったところである

住宅リフォーム助成制度の創設

つつみ議員
県政諸般の報告の中で「地域ニーズに応じたきめ細かな施策を盛り込む」としているが、経済効果及び地域の中小業者の仕事拡大とって「住宅リフォーム助成制度」を創設することは、景気・雇用対策につながるが。どう認識しているのか。 

広瀬知事
この件については、堤議員からご提案頂いているが、住宅リフォームに対する助成は景気対策の上では、なかなか面白いのではないかと思うが、厳しい財政状況の中で、それだけを条件にやるというのは少し難しいという感じを持っている。もう少し他の政策目的も加味できないか、という事を考えなければならないのではないかと思っている所です。そう言って意味からも県からの個人住宅に対する助成は、耐震改修といった安全対策や高齢者のためのバリアフリー化など一つか二つ政策目的をくっつけながらやっていくことが大事ではないかと思っている。そうした状況のなか、今回、国の緊急総合経済対策で、住宅の増改築を対象に県産材をしようする施主に対する助成制度が創設されたことから、県産材需要拡大といった政策目的も加味して助成メニューが考えられないかと勉強していきたいと思っている所。折角のメニューもあるのでそういう事も考えて行きたいと思っている。

つつみ議員
来年度本予算の中に森林活性化事業で国が補正予算を付けているので、是非その予算プラス一般リフォームに使えるような事業として来年度は検討してほしい。

TPP問題について

つつみ議員
大分県の景気と雇用にとって大変な打撃を与える、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)問題について、大分県の農業・林業・水産業に与える影響額はどれくらいと試算しているのでしょうか。

片岡農林水産部長
農林水産省が公表した「国境措置撤廃による農林水産物生産等への影響額」は、農業4兆1千億円、林業490億円、水産業4千2百億円、あわせて4兆5千億円程度となっている。それぞれの資産の考え方に基づき、本県への影響を試算すると、農業557億円、林業2千万円、水産業22億円となり、農林水産業全体では約580億円となる。ただし、農林水産省の資産の方法は、米、麦など主要な品目に着目し、内外価格差や品質格差の観点から輸入品と競合する、しないで二つに分け、競合する品目は輸入品に置き換わるとするなど、大まかなものである。尚、農林水産省は「農業の多目的な機能の喪失」「GDPの減少額」等についての試算も公表しているが、資産の方法が公表されていないことから県における影響額の試算は困難と考えている。

つつみ議員
知事は「十分な時間をかけて慎重に検討する」という態度であるが、断固反対の立場を貫くべきではないか。

広瀬知事
断固反対としては、非常に国際的な動きが現実のものとして出てきている。 日本の産業がやっていけなくなるのではと心配をしている。かといって賛成としては日本の農業大分県の農業影響が非常に大きいなかなか悩みの多いことだと思っている大事なことはその両方が成り立っていく知恵を出すことが大事なのではないかと思っている。

つつみ議員
両立はあり得ない。農業は壊滅状態になる

第四回定例会トップへ

2010年第四回定例会 質疑・討論

会期 11月
26日から12月4日

以下の議事録は正式な議事録ではありません
**正式な議事録につきましては、大分県議会ホームページをご覧ください**

11月30日 討論
第122号議案 職員の給与に関する条例等の一部改正について 

12月8日 質疑
教育委員会の不正採用事件に関わる和解の賠償金について 
景気雇用対策としての住宅リフォーム助成制度の創設について  
TPP問題について 

日本共産党大分県議団