国保の広域化の弊害について  
  
市町村国保の独自助成の創設について  
  
住宅リフォーム助成制度について  
  
産業廃棄物最終処分場問題について  

9月15日 質疑

9月15日と22日の議会でのつつみ栄三議員の発言は次の通りです。

2010年第三回定例会 質疑・討論

会期 9月7日から10月22日

以下の議事録は正式な議事録ではありません
**正式な議事録につきましては、大分県議会ホームページをご覧ください**

第84号議案   大分県国民健康保険広域化等支援基金条例等の一部改正 について  

第85号議案  大分県認定こども園の認定基準を定める条例の一部改正に ついて  

議員提出第27号議案 地方の社会資本の早期整備を求める意見書  

議員提出第30号議案 港湾の整備促進を求める意見書    

議員提出第34号議案 新たな経済対策を求める意見書  

          以上について反対の立場で討論

9月22日 討論

日本共産党大分県議団

9月15日質疑するつつみ県議

9月22日討論をするつつみ県議

3回定例会議案質疑

堤県議

1 大分県国民健康保険広域化等支援基金条例等の一部改正について
@  国保の広域化について

 本年国保法の改正によって広域化等支援基金を支援方針の策定経費等として使用ができるようになりました。しかしこの支援方針そのものは広域化の既成事実づくりであり、広域化に向けた準備そのものです。

 現在の各自治体国保会計は、国庫負担の引き下げによって財政危機的な状況に陥りながらも、一部の自治体では、その値上げを抑えようと一般会計から繰り入れを行うなど涙ぐましい努力をしているところもあります。

しかし今回の厚労省保険局長の通達では「一般会計の繰り入れはなくし保険料の値上げに転嫁せよ」というとんでもない内容の通達になっています。これがこのまま広域化されれば、国による財政支出も減り、一般会計からの繰り入れもなくなり、さらなる値上げが行われ、ますます払えなくなる人が増え、国保証取り上げ世帯が増えてしまいます。

県として広域化方針に対し明確に反対の立場をとるべきですが、答弁を求めます。

広瀬知事

国民健康保険は、国民皆保険の最後の砦ともいうべき医療保険制度であり、将来的にも安定した運営を維持することが重要です。しかし、運営主体を財政規模の小さい市町村としている限り、運営が不安定となりやすく、将来にわたって維持できるかという構造的な問題は解消できないと思います。本県の市町村国保を見ても、平成20年度の給付費総額で約1300億円もの事業規模ですが、単年度収支が18市町村中7市町で赤字となっています。このような状況の中、都道府県単位の広域化を推進し、市町村国保の安定的な運営を図るため、県が支援方針を策定することができるよう国民健康保険法が改正されたところです。県としましては、この主旨に基づき、広域化等支援方針を策定したいと考えています。

堤県議

運営が不安定という原因の認識はきちんとしなければならない。国保会計に対する国庫負担は、医療費は33%、1984年当時は医療費45%を国が負担していた。どんどん減らされてきて、最終的には広域化という方向性が作られてきた。まさにこれは国の財政支出を抑えるための方向性である。県としては反対を貫くべきだ。高齢者医療制度改革会議に対し、全国知事会代表の委員として愛知県の神田知事は「高齢者のための新たな医療制度等についてに関する意見書」において、「巨額(約3700億円)な法定外繰入金を投入して辛うじて支えられている国保の構造的な財政問題は、単に広域化すれば解決するという問題ではない」と明確に述べられている。県としては国の削減し続けてきた国保会計への補助金等について元に戻すべきと国に対して求めるべきではないのか。答弁を求めます

広瀬知事
大分県が限られた財源の中で色々な事業を実施している。堤議員がおっしゃるように国の負担というのは県としては長期的に安心できるような制度を確立することが大事だと言っている。そして、地方に新たな負担が生じないようにと言っている。県としては堤議員ご指摘のように国がもっと負担をちゃんと考えてもらうとういうことは常に言っている。なかなかそうならないのが残念だが主張はしていきたい。

堤県議
私も国に対して毎年要望はしている。

県による独自助成の創設を
国は自治体が独自で子ども・障がい者・高齢者等への窓口無料化を実施している場合、国庫負担を減額するというペナルティを課していますが、山梨県や佐賀県など多くの自治体ではこの減額に対し、県独自で減額に対する補助金を出して、値上げを防止しています。県としてペナルティをやめるよう国に求めると同時に県として減額された分に対する独自助成を大分県は今までしたことがないが創設する時期にきているのではないか。答弁を求めます。

広瀬知事
ご指摘の通りだと思う。大分県が実施している子ども医療費のように地方単独事業で現物給付を行っている場合には国民健康保険の国庫負担から減額される。限られた財源の中で重要度を勘案しながら実施するこういう事業に国庫負担の減額措置が適応されるというのは遺憾。全国知事会を通じて廃止を要望している。県は22年度において市町村国保に対して法で定められた財政調整交付金など95億円あまりの支援をすることになっている。今後とも国保財政が安定的に運営するようにまずは法定の負担をしっかり果たしていきたい。国に減額をしないように要望するということと。法定の負担分は確保し支援しようということです。その間までやるというのは厳しいと思う。

堤県議
山梨県は、2分の1の独自補助。佐賀県では先日の県議会の中で乳幼児医療費の現物給付に対して3分の1であったものを2分の1に予算を増額して補助金を出すと決めた。県がやる気になればできる。この制度の創設をするかどうか、再度お聞かせ願います。

広瀬知事
折角のご提案だが、国に減額はおかしいと言っている。それと法定のものを負担する。いくつかの県でそれ以上のことをやっているという事は知っている。今の方針で国の様子等もみていく。

堤県議
中小業者の支援策について(住宅リフォーム助成制度について)
政府の「新成長戦略」を閣議決定し、「中古住宅・リフォーム市場の倍増等」政策を優先的に取組むプロジェクトの一つとして、「中古住宅流通市場やリフォーム市場規模を20兆円まで倍増を図ること」を位置づけました。住宅リフォーム助成事業は、県内建設業者や資材業者などの仕事つくり、労働者の安定雇用に積極的な役割を果たし、地域経済を根底から支え、住宅の長寿命化にも資し低炭素社会実現にも大きく寄与します。これまで質問してきましたが、県としての「住宅リフォーム助成制度」についてのこれまでの検討結果について及び今後の導入についての答弁を求めます。

梅崎土木建築部長
これまでの検討結果・新しい助成制度の検討を進めるに当たっては、その緊急度や事業効果等の見極めが必要である。
・県としては、喫緊の課題への対応として、木造住宅の耐震化を促進するため、平成20年度から耐震改修費への助成制度を始め、本年度は、その診断に対する補助限度額を拡大するなど、取り組みを進めている。
・個人住宅のリフォーム助成については、都道府県で唯一、秋田県が実施しており、昨年度、秋田県を訪問し現状を調査してきた。
・秋田県における対策は、独自の臨時的財源を活用し、本年度末までの特例措置であり、本県としては、制度導入に伴う耐震改修の遅れや、制度終了後の反動による個人投資の落ち込みなど懸念され、導入に当たっては、これらの諸課題の研修も必要と考えている。
(今後の方向)
・国の中古住宅市場の活性化施策の動向を見極めながら、研究を進め、県民の生命を守ることを優先課題として、まずは耐震改修を着実に進めてまいりたい。

堤県議
優先課題と言いながら耐震改修工事はわずか11件の申請。秋田県では8月末時点で既に8901戸の申請があっている。地域経済にどれだけ貢献しているか お答えください。

梅崎土木建築部長
県としての政策はまずは耐震という事を掲げているのでまずは耐震と考えている。

堤県議
地域経済の衰退を県としても考えなければならない、大きな課題である。これも優先課題にいれるべきだ。あわせて、県産材を使用したリフォーム助成制度も必要だと考えます。疲弊している県内の林業や製材業など活性化のためにも有効な制度だと考えますが、農林水産部長に答弁を求めます。

片岡農林水産部長
21年度から新築の木造住宅で梁、桁材に県産の杉材を使用した場合に一戸当たり10万の上限で助成をしている。木材の使用量という点で比較をすると新築の場合は25?、リフォームの場合3〜4?と少ないことに加え増改築の件数も新築の6%程度しかない。リフォーム助成制度については県産材の消費拡大という面では大きな効果は期待できない。限られた財源の中で新築を主体に考えている。

堤県議
おかしい。県産木づかい住宅支援事業でもわずか、1000万円の予算。

一件を比べれば当たり前、秋田県は8900件使っている。この比較をすれば、県産材を使う率は高くなる。こういうところから農林水産部としては検討しなければいけない。いつも言っているが中小企業者がこれだけ疲弊している中でどうやって県として仕事を作っていくか、こういう立場に立たなければ中小企業者はまともに生活できない。だから秋田県の住宅リフォーム助成制度をぜひやってほしいというのが県民の願いでもあります。だから請願も出ている。知事、研究している結果を聞かせてください。

広瀬知事
この件については堤議員からご質問を頂いた。二つ課題がある。
一つは木造住宅の耐震化という事が大分県としては大事だという事だがその事業がまだまだわずかしか進められていないという事だからその制度が今のままで足りるのか?もっとみんなが耐震化のリフォームをするということに繋がるようにすべきではないかと政策目標と手段についての検証が必要かと思う。
もう一つは多くの事業者がそれに参加するという事も非常に大事だと思う。その点についても検討する必要がある。引き続き勉強していきたい。

堤県議
この件については私も引き続き議論していきたい。

産業廃棄物最終処分場問題について
宇佐市、浜高家(はまたけい)地区の中間処理施設の建設について、現地では反対運動がさらに燃え上っています。県は申請業者がこれまでも不適切なことをやってきたと認識していると思いますが、現地住民は県以上に心配しています。今議会でも「設置許可申請の不受理等」の請願が出されています。県として「生活環境の保全に関する協定」を必ず締結しなければ許可しないという毅然たる態度で臨むべきではないでしょうか。
また、大分市戸次地区の管理型産業廃棄物最終処分場建設については大分市の許可事業だが、県として水道水源域への処分場建設についてどのように考えているのか。併せて答弁を求めます。

重本生活環境部長
(宇佐市の中間処理施設設置協議の経過)
・事業者が、計画について地元住民の方々に十分に説明し、理解を得ることが重要であると6月議会でも申し上げたところ。
・これまで事業者が説明会を二回開催しているものの、施設設置について地元との相互理解に至ってないため、事業者に対し、728日に地元の3区長連名で再度の説明会を開催するよう要請状が提出された。
(今後の対応)
3回目の説明会を開催するよう、事業者を強く指導し、9月中に開催される見通し。・今後も住民の不安を解消し、協定が締結されるよう粘り強く事業者を指導する。
(水道水源への処分場建設)
・水源地域の保全は極めて重要であり、県が許可する場合においては、事前協議の段階から、事業者に対して環境への影響に十分配慮するよう指導している。
・関係市町村や地域住民の意見をしっかり聞くとともに、学習経験者等で構成する産業廃棄物審査会に意見を求めた上で、処分場建設の許可を与えるか否かの判断をすることになる。

堤県議
宇佐市の方は公開質問状を業者に出している。それに対する回答がきていない。そういう中で県だけが説明会を開けと言ってきていると地元の方は言っている。公開質問状にまともに回答するよう指導しなければいけない。
戸次地区の住民はこれまで全戸へのビラ配布、地区ごとや体育館で全住民集会を開催し、絶対反対を表明しています。7月末には15,000筆の署名を持って大分市にも提出しています。さらに大分市議会では建設反対の請願が採択されています。私も現地視察にも行ってきましたし、現地の住民とも懇談をしてきました。
大分市の動向をみるということではなく、県民の健康問題また田畑の水を守る、飲料水を守るという立場から県として大分市と共同していかなければならない。大分市とこの問題について協議したことはあるのか。

重本生活環境部長

地元から公開質問状については、事業者は真摯にこたえるよう指導している。大分市の件については中核市である大分市が判断すべきである。地域住民の意見を聞くとともに、計画について十分な説明がなされることが重要であると考えている。

堤県議
私が聞いたのは大分市とこの問題について協議したことがあるのですかという事です。
重本生活環境部長
協議をしたことはない。あくまで中核市である大分市が判断することである。

堤県議
大分県に住んでいる方、大分市に住んでいる方 別ではない一緒である。だから大分県としてノウハウがあるわけだから、大分市と協議をしていく責務がある。大分市が中核市だからと丸投げしては絶対だめである。県としてそういう姿勢に立っていただきたい。様々な問題点があるという認識を県は持っているのか

重本生活環境部長
大分市で大変な問題になっていると認識をしている。県も相談があればのっていきたい。県のノウハウが生かせる場面があれば相談に乗っていきたい。決して突き放しているのではないのでよろしくお願いします。

堤県議
建設は認めないと大分市と共同歩調をとっていただきたい。



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反対討論

84号議案「大分県国民健康保険広域化等支援基金条例等の一部改正について」
 質疑でも指摘したように今回の一部改正案は、国民健康保険法第1条の「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」ことに明確に逆行するものであることを、まず指摘しておきます。知事は私の質疑の中で「運営主体が財政規模の小さい市町村では、将来にわたって維持できない」と答弁していますが、今のような財政危機をもたらしたのは、まさに国による社会保障削減路線の結果であります。国の予算を削減したまま国保を広域化しても弱者同士の痛みの分かち合いにしかならず、財政や制度の改善にはつながりません。しかも今回、厚労省保険局長の通達では「一般会計繰り入れによる赤字補てん分については、保険料の引き上げ、収納率の向上、医療費適正化策の推進等により、早期に解消するよう努めること」一般会計からの繰り入れをさせないようにしており、これで広域化されれば、国による財政支出も減り、一般会計からの繰り入れもなくなり、さらなる国保の値上げへと直結してしまいます。現在でも国保滞納世帯37,548世帯、資格証明発行も4,198世帯となっており、これ以上の負担増は到底許せるものではありません。日本共産党は広域化の実施に反対し、国庫負担割合を1984年当時の医療費の45%に戻すことを求めます。こうなれば国の繰り入れが12千億円増え、国保一人当たり3万円の値下げができることになります。 県として広域化方針ではなく、国に対し国庫負担割合を元に戻すよう強く求めると同時に、県による独自助成の創設で、安心して医療を受けることのできる国保制度にすることが県の責務であります。

85号議案「大分県認定こども園の認定基準を定める条例の一部改正について」
 今条例改正案は、保育所型認定こども園における3歳以上の子どもに対する給食の外部搬入を認めるというものです。保育所型認定こども園ではこれまで自園において一人一人子どもの健康状態やアレルギーやカロリー等細かく考え調理をしてきました。給食がおいしくて通園する子ども、安心して預けられる環境であるので通わせる保護者など、自園方式でつくる給食は大きな役割を担っています。 園側も少子化の中大変な努力をし、食育の観点から食材調達、調理等しています。このような子どもの楽しみや保護者の安心、園の努力を全く台無しにしてしまう、今回の規制緩和は全く許せるものではありません。 今後、規制緩和を推進していけば定員枠の撤廃、安全基準の見直し等さらなる規制緩和が進められる危険性があります。県としても、法律の改正としても地産地消や食育を推進している以上、地域の子どもは地域の安全な食材で育てる観点に立つべきであります。
以上の理由から二つの条例の一部改正案には反対します。


意見書に対する反対討論 

議員提出議案第27号「地方の社会資本の早期整備を求める意見書」同30号「港湾の整備促進を求める意見書」、同34号「新たな経済対策を求める意見書」3本について反対の立場から討論を行います。 この意見書はいずれも公共インフラの整備促進のため公共事業予算を求めています。道路、河川、港湾等は県民生活に密接に関連した整備は必要です。しかし優先順位からしても県経済の発展のためにはまず重点投資として社会保障費や中小企業・家計消費を暖める内需主導へとするべきです。県内の生保世帯は13,378世帯、国保滞納世帯も37,548世帯と、県民の暮らしは耐えきれない状況になっています。国に対し生活保護基準の引き上げ、市町村国保への支出金の引き上げや後期高齢者医療制度の即時廃止、障害者自立支援法の抜本的改革など行うよう、まず求めるべきであり、社会保障制度を充実してこそ、消費者は購買力を高めるのであります。ここにこそ優先的に予算を配分すべきであります。しかし本意見書では、新たな経済対策として相も変わらず公共事業予算の確保をし、企業による雇用や設備投資の促進、及び企業立地を掲げています。雇用の促進といっても大分キャノンのように非正規雇用や期間社員の拡大では安定した雇用につながりません。大企業立地のための補助金をやめて、雇用の受け皿として7割を占めている中小企業の支援にこそ回すべきです。日本独特のモノづくり産業への支援策や商店街を含めた家賃や光熱費などの固定費の補助、住宅リフォーム助成制度等創設し、地元の中小企業が元気になる施策を実施すべきです。以上のように社会保障の充実と全事業所の約99%を占める中小企業にこそ、公共投資の重点を移していくことが大切です。しかし今回のいずれの意見書もこういう立場には立っていません。
以上の理由から反対とします。

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