2014年1月15日から17日
群馬県庁13階展望台からみた利根川 千葉県議会前で政策検討協議会委員と
大分県議会政策検討協議会の一員として、1月15日から17日まで千葉県や群馬県、さいたま市等視察に行ってきました。
障害者差別解消条例や水源地保護のための条例について勉強してきました。
千葉県では「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」について障害福祉課の職員から聞き取りをしました。
千葉県では2005年より、「障害者差別をなくすための研究会」で800にのぼる差別と思われる事例を県民から集め、内容を検討し条例原案に取りまとめられました。それは「差別とは何かを考える場合、当事者の経験を出発点にすべき」という思いから進めていったそうです。条例を作る段階でも成立後も、いろんな団体と意見交換を行ったり、タウンミーティングを実施してきて条例に反映させる努力を重ねたようです。
出来あがった条例については、県民の2割しか認知されておらず、広げていくことが今後の課題だとも語っていました。
また「条例成立後差別事例の相談が1411件あり、生活相談を併せると4000件以上の相談があった」と報告があり、それに対し、「16名の広域専門指導員や620名の地域相談員が連携して対応しており、中には1回で解決しない場合10回以上動く場合もある」と発言がありました。個別で解決しない場合は「障害のある人の相談に関する調整委員会」が助言やあっせんを行う体制となっていると話があり、それによって「視覚障害者に対して銀行での代書を行員ができるようにした」「身体障害者補助犬に対する理解の推進」等地域と企業が一体となって、障がい者の利便性向上に取り組んでいると話がありました。また中小企業にバリアフリー化等の改善についても、「過大な経済的負担とならない範囲で行うよう要請している」と話がありました。
さいたま市では「誰もが共に暮らすための障害者の権利の擁護等に関する条例」(ノーマライゼーション条例)について話を聞いてきました。
ここでは千葉県の条例を参考にして市条例を作ったと話があり、「障害とは個人にあるのではなく社会にあり、社会から受けるものという「社会モデル」をとりいれることから、安易に「害」の字を平仮名にすることはしない」と話がありました。また障害の定義でも「心身の機能の障害」等の医療モデルと「障害があることにより、持続的に日常生活等において活動の制限または参加の制約を受けている市民」という、条例の中で初めて「社会モデル」をとりいれたとも話がありました。条例を検討する段階で、当事者や保護者、事業者などで構成する「条例について話し合う100人委員会」を立ち上げ、様々な意見交換を行ったと話があり、この委員会は今でも年3回程度開催されているそうです。しかしここでも市民のこの条例の認知度は14%ぐらいであり、「まだまだ知られていない状況」と話がありました。
いずれの条例でも当事者を含め様々な方から意見を聞き、条例に反映させることの重要性。「障害の有無にかかわらず。同じ市民として、個人の尊厳と権利が尊重され、その権利を享受できる地域社会の実現を目指す」ということの重要性を再認識しました。大分県でも、この立場に立った条例をぜひつくっていきたいと思います。
群馬県では「群馬県水源地域保全条例」について、県の林政課職員から話を聞きました。
利根川水系を有し、東京への飲料水の供給減として重要な位置にある群馬県で、水源地域を保全するための条例です。2011年に外国資本が44haの山林を買収した事に端を発し、本条例の検討がはじまったそうです。条例のポイントとして「森林所有者が土地等の売買等をする場合、どんなに小さな取引でも県へ事前に届ける義務を課している」のが条例の核心と話がありました。他の関係法令ともかかわりながら、土地等の取引に着眼して条例を作ったと話がありました。しかし取引そのものを規制することはできず、「事前届け出をさせることによって、開発等の抑制につなげていきたい」との話でした。
担当者は最後に、「森林の荒廃は林業収入で暮らしていけないので売却をしてしまう。まず林業で暮らしていけるような仕組みが必要」と話があり、その通りと思いました。
日本の農林水産業を壊してしまうTPP等絶対に阻止しなければとも痛感しました。
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