2011年第3回定例会

会期 9月13
日から9月29日

以下の議事録は正式な議事録ではありません
**正式な議事録につきましては、大分県議会ホームページをご覧ください**

9月22日 質疑
原発問題全般
放射性物質の安全体制について 
農産物の放射能に汚染されていない証明について 
避難者に対する県営住宅の規定について 
伊方原発について 

介護保険制度の改正について

求償権の行使について

9月29日 討論
第90号議案 大分県立学校の設置に関する条例の一部改正 に対する反対討論 

放射性物質の安全体制
堤県議
 福島第一原発事故はいまだに収束の道が見えず、放射能汚染の被害は十万人の人々に先の見えない避難生活を強いている。大分県内においても放射能の検出、汚染された稲わらを食べた牛肉の流通など、その影響は県民に不安を抱かせている。この不安を取り除くのが県としての役割だ。汚染された食品が流通しないような安全に対する体制はどうなっているのか。

生活環境部長
国は、食品中の放射性物質の暫定規制値を定め、放射能の影響を受け た地域において定期的なモニタリング検査を実施するとともに、規制値を超えた食品については、出荷制限や摂取制限の措置と執っている。
このような国の体制にも関わらず、放射性物質による汚染又は汚染の疑いがある食品が県内に流通した場合は、速やかにその情報を公表し、回収を呼びかけるとともに改修された食品の検査を行い、結果も公表していく。放射能に対する県民不安を解消するため、9月4日に「食品と放射能」をテーマとして、消費者など県民約200名が参加した意見交換会を開催し、専門家による放射能に関する科学的な知識の復旧に努めた。食品の放射能汚染に関する県民からの相談については、福島第一原発事故直後から県の保健所9か所において随時、獣医師等により対応している。

堤県議
県民から放射能検査をしてほしいと声があった場合はどう対応するのか。

生活環境部長

基本的には保健所で対応する。検査を希望した場合には現在は北部・東部・豊肥保健所三か所にシンチレーションサーミメーターを設置している。今年度中には西部・中部・南部保健所に配置される予定。サーミメーターは検出器が露出しているので環境の放射線に大きく影響受ける。正確にするためには、環境の放射線を排除する必要がある。鉛の容器に入れて検出器の大部分を肉に埋め込まなければならない。肉二キロ以上のミンチが必要になる。制度が荒くても良いという事になれば、100200gのパッケージに充てて測定することは可能だが、判定はプラスかどうかという程度のものしか出ない。この事を相談中で十分説明したうえで県民の方の理解の元相談のひとつの手法として可能だと思う。

農産物の放射能に汚染されていない証明
堤県議
また県内の農家から「中国に農産物を輸出しているが、中国側から放射能に汚染されていない証明書及び産地証明がないと輸入できない」と言われ、大変困っているという声が寄せられた。本来は国の責任で行うべきだが、県としての救済策を早急に取るべきと考えるが。県内の農家でどのような産物が一番大きな被害があっているのか。

農林水産部長
中国に向けた農林水産物の輸出については、農産物の産地証明書の政府間協議が整わず、水産物を除き輸出できない状況が続いている。県としては、協議が整い次第、速やかに対応できるよう、放射性物質の検査体制及び産地証明書の発行体制を整備している所である。国に対しては、これまでも交渉を急ぐよう働き掛けてきたが、中国への農産物輸出が早期に再開できるよう、引き続き要請していきたい。影響を受けている産物としては中国関係で牛乳の輸出再開がされていない。国の協議を待つという状況にある。梨は台湾・香港に輸出されている。特に支障は出ていない。中国本土の輸出の影響が大きい。

堤県議
証明書発行対象国に中国は入っていない。外交ルートで解決しようという回答だが、今現在の国として輸出に向けて、どこまで進んでいるのか。また輸出再開の見通しはどうか。

農林水産部長
国の動向によると、産地証明の様式の問題となっている。以前に比べると進んでいるのではないかと理解している。

堤県議
風評被害については、県としての見解どうか。

農林水産部長
国の動向を見ながら県としても対応できるものは対応していきたいと思っている。

堤県議
審査会が中間報告を出して、どういうものが風評被害かとでているが、県としても声をあげていくべきだ。

農林水産部長
多県との連携もしながら、対応していきたい。

避難者に対する県営住宅の規定
堤県議
福島県から避難してきたあるご家族から、「県営住宅は1年間家賃がいらない一時入居ができたので助かるが、来年41には契約の更新をしなければならない。その時に保証人が二人必要と書かれているが、大分県内に身内のいない自分にとって大変困る。さらに夫婦で真剣に県内で働いており、所得制限に引っ掛からないか不安である」という声が寄せられている。帰る家も土地もない避難者には、入居規定等は柔軟に対応すべきではないか。

土木建築部長
現在17世帯、48人の被災者を県営住宅で受け入れている。そのうち16世帯は、1年限りの一次入居者で使用料と連帯保証人などを免除している。残り1世帯は、公募の例外である特定入居者で連帯保証人を、通常2名のところ、1名とし、県内にいない場合は、県外者も認めている。現在にところ、1年後については、通常入居に移行することになるが、今回の震災の特殊性を考えると、被災入居者や国・被災県からの要請状況等を見極める中で、その対応について今後検討していきたい。

堤県議
柔軟に対応していくという事で良いのか。

土木建築部長
制度を見直し柔軟な対応をしていく。

堤県議
県内に避難している方々の実態を県として把握し、暮らしや雇用などでの不安や要望に積極的に応じるべきだ。今現在どういう対応をとっているのか。

生活環境部長
県では、322日に被災者受け入れ対策室を設置し、市町村と連携して避難者を積極的に受け入れると共に、生活物資の提供や見舞金の支給など支援を行ってきた。本県への避難者は920日現在で170世帯、381人であり、九州7県では福岡県に次いで2番目に多く受け入れている。避難者世帯に対しては、名簿を作成の上、定期的に訪問して生活相談や実態把握を行うとともに、継続的な支援を行っている。避難者の就労を支援するため、就職希望アンケート調査を継続的に実施し、その意向を踏まえて、ハローワークと連携して求人情報の提供も行っている。また、毎年7月に実施している少年の船に、今年は被災地から避難している児童9名を招待し、県内の小学生と寝食を共にして、友情を育んでもらい、保護者からも感謝の言葉をいただいた。その中で、避難者からの方から、震災時や避難の様子を詳細に記載し「役立てていただきたい」とのお手紙もいただいいた。ご協力に感謝申し上げ、大分県地域防災計画の見直しにあたり、できる限り避難者の方々の貴重な体験を活用していきたいと考える。県としては、引き続きできる限り避難者の方々に寄り添った支援活動を続ける。

伊方原発に対する要望
堤県議
県漁協より422日「原子力発電所事故にかかる防災対策について」の要望が県に提出された。「伊方原発に事故があれば、大分県にも影響が出る。海はつながっており風評被害を始め、実質的な被害も十分想定される」とその危険性を指摘し、さらに「四国電力伊方原発の将来的な見直し計画」等を求め、県に対しても「防災対策や事故の時の影響対策の確立」を求めている。漁業関係者ならずともこのような思いは当然である。 県としてこのような関係者の声に対し、どのような姿勢で臨むのか。 

知事
大分県漁協から「原子力発電所事故に係る防災対策について」の要望をいただきましたが、伊方原発でひとたび事故が発生すれば、実質的な被害も想定されますので、漁協関係者のみならず、多くの県民の皆さんが心配していると思います。だからこそ、原発の安全対策を十分に講じてもらう必要があります。伊方原発については、福島第一原発の事故を受けて、四国電力が国の基準を上回る電源対策や更なる揺れ対策などを講じたことを、確認いたしました。将来的な見直し計画については伺っていませんが、まずは国や電力会社が原発の安全性を確保し、みなさの理解を得ながら進めていくことが大事であると考えています。原発事故を想定した本県の防災計画についてですが、現行の放射性物質事故対策計画の中で、環境モニタリングの実施や必要な救助・緊急体制の整備のほか、避難の必要な救助・緊急体制の整備のほか、避難の必要がある場合の誘導などを定めており、万一の場合はこれに基づき適切な措置を講じてまいります。
尚、現在、国では福島原発事故調査・検証委員会で事故原因と再発防止等について検討が行われ、また、原子力安全委員会では原子力防災指針の見直しなどが行われています。防災計画は新しい事態に対応しながら、必要に応じて適宜見直していくことが大事ですので、国の動向を注視しながら、県民の安全・安心を第一に柔軟に対応していきたいと考えています。

堤県議
放射性物質事故対策計画の中の事業者があるが、事業者の中には九州電力・四国電力も入ると認識して良いのか。

生活環境部長
防災計画中には系統図ははいっていない。だから、今回愛媛県との連絡体制強化した四国電力からただちに正確な多くの情報が入るようにした。

堤県議
放射能の対策の事故予防計画があるから大丈夫だと必ず知事は言うが、実質は事業者と言われる電力会社が入っていない。見直しの中に積極的に入れていくべきだ。

知事
国の動向を見ながら、柔軟に対応していく。

堤県議
県としても見直しをしていくべきだ。

介護保険制度の改正について
堤県議
介護保険の諸制度について、高齢化社会を迎えた現在、介護保険制度の充実が求められている。しかし来年4月から介護保険法が改定され新制度が実施される予定で、県民からは不安な声が出されている。 介護と医療の連携強化と称して、「24時間対応の定期巡回・随時対応サービス」を行うとなっている。これは一定の基準で何回訪問しても定額の介護報酬とされることから、事業所が利益を上げようと考えれば、できるだけ訪問を減らし、利用者や家族に負担を強いる可能性がある。県としてどのように歯止めをかけるのか。

福祉保健部長
今回の介護保険法改正で創設された「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」は短時間の定期的な巡回や随時対応で、看護や介護サービスを組み合わせて24時間提供することにより、在宅生活の継続を可能とするものとして、市町村が主体の地域密着型サービスとして位置づけられた。事業に関する運営基準や報酬設定などは、来年一月に国が詳細を示すこととなっている。提供サービス量の多寡によるサービスの提供控えが生じるのではないかという恐れについては、市町村の責任において、在宅生活が包括的かつ継続的に支えられているかについては把握し、必要に応じて事業者を指導していくこととなるが、県としても必要な助言を行っていく。

堤県議
介護職員の人員不足は深刻であるが、また介護職員処遇改善等促進基金について平成23年度で終了する。県としてどのように人員確保を考えているのか。

福祉保健部長
 モデル的に中津で24時間の提供サービスを行っているが、大きな法人でなければなかなか難しい。ただ中津は全国的にも優秀な成績を納めている。そういう所を含めて、法人のノウハウを県の中で普遍化していく。そういう形で研修体制をしっかりやっていく。

堤県議
国・県・市町村が各3分の1づつ拠出している財政安定化基金の取り崩しを行うことによって少しでも値上げを抑えることができると考える。取り崩し額のうちから、市町村拠出相当額は、保険料抑制に充てられることとなっているが、国と県の分も保険料値上げ抑制に使うべきと考える。県としての認識はどうか。 また、国に対し予算の増額を求め保険料の上昇を抑え、介護難民を出さないという姿勢こそ必要だ。国に対しこのような認識で要望すべきと考えるがどうか。

福祉保健部長
 財政安定化基金の取り崩し額のうち、都道府県分の使途については、国が拠出した分と同様に、改訂介護保険法において「介護保険に関する事業に要する経費に充てるよう努めなければならない」と規定されている。具体的な使途としては、地域包括支援センター職員やケアマネジャー等の研修の充実などが考えるが、当基金の取り崩しについては平成24年度限り認められた措置であり、その取扱いについては、改正法の趣旨を尊重しつつ、今後検討していく。介護保険制度創設以降、地方の財政負担、被保険者の保険料については、第5期に限らず、今後もさらに増加する見込みである。介護を必要とする高齢者が必要なサービスを受け、住み慣れた地域で安心して自立した生活が送れるよう、安定的で持続的な保険財政の運営を可能とする仕組みの構築のため、国の財政負担を増やすことを引き続き要望していく。

堤県議
保険料が5200円になろうという中で、払っていけるかという状況になってきている。年金の引き下げも行われようとしている。是非国に対して予算増額の要望をしていくべき。

求償権行使について
堤県議
 求償権に係る検討結果報告書では、県教委の指導監督上の落ち度が認定されているが、その落ち度とはいったい何か。また求償権行使は地位や金銭を利用し、「口利きをした真の不正行為者に求めるべきだ」というのが県民の率直な声であるが、この声にどう答えるのか。

教育長
(指導監督の落ち度)
 求償権に係る専門家委員会の報告書で「大分県教育委員会は、不正行為を防止できなかった指導監督上の落ち度認められ、求償権の行使に当たっては信義則上一定程度制限されるべきと考える」と言及さえている通りである。
(口利きをした真の不正行為者への求償)
国家賠償法第1条第2項では「公務員に故意又は重大な過失があった時は、国または公共団体は、その公務員に対して求償権を有する」と規定されている通り、求償は故意又は重過失が立証されない限りできないものである。

堤県議
不正行為を防止できなかった指導監督上の落ち度というが、これまで噂としてささやかれてきた「口利きを安易に容認した姿勢」も含まれていると考えるのが常識であると思うが、見解はどうか。

教育長
国家賠償法第1条第2項で求償権を行使することについては、故意又は重過失が立証されない限りそういう事にはならない。

堤県議
求償額について、42,025,384円から二宮元教育審議官に支払われるべき退職金32,545,896円を差し引いた9,479,488円の求償額としているが、元審議官は平成18年度実施分の教員採用試験で不法行為をしており、この時判明していれば懲戒免職で退職金は支払われないはずだ。どうして退職金を求償額から差し引きをすると結論付けたか。

教育長
報告書の中で考慮する事項と書かれている、求償権を有するがその行使にあたっては、以下の事情を合わせて考慮する事が適切であるとして、六点に渡り列挙されている。これを総合的判断し、報告書意見を尊重して判断した。

堤県議
本来の教育再生の議論は徹底的に続けていく。


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9月29日討論
第90号議案「大分県立学校の設置に関する条例の一部改正」について
今回の条例改正は高校改革推進計画に基づき、県立臼杵商業高等学校の廃止と、海洋科学高等学校を津久見高等学校の分校化にするものです。この推進計画の背景には、国による教育予算の削減があります。この政府の思惑どおり、大分県として前期、後期再編計画を策定し、県立学校の統廃合を進めています。高校改革推進計画の中には、適正規模の学校とは、「多くの生徒と出会い、お互いに切磋琢磨する環境、専門の教員配置、多彩な部活動が選択できる」と定義づけられています。このような条件は、統合や廃止でなくても十分達成できる条件でありますし、少ない人数だからこそきめ細かな指導ができるのであります。今回の高校等の統廃合は、クラスの減少に伴い、教職員の削減にもつながってしまいます。教職員の削減は、教員採用試験の激化を生み出し、3年前のような贈収賄事件が起きる温床となってしまいます。計画の見直しと統廃合中止を求め、反対討論といたします。

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日本共産党大分県議団
9月22日 質疑
9月29日討論